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[3333] 耳にする、目にする、鼻にする?

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

聞くや聴くという意味で使われる「耳にする」。
とくにウワサ系との相性が良くて、テキストでも多用しています。

マスクが風邪の予防に効かないという話を耳にします

この場合の効果というかニュアンスは“伝聞”でしょう。
じかに聞いたワケじゃないんだけど、どうやら、そうみたいだよねと。
直で使っても構わないんでしょうが、しっくりくる用途としては伝聞。これ一本でいいのではないでしょうか。

次は「目にする」。
こちらは間接認識ではありません、目撃体験があります。
ただ、注視ではなく、視界の中に入っているニュアンスですかね。

「安全」を堂々と打ち出している広告も目にします

どの商品の広告なんだと言われちゃうと、答えられない。
でも、たしかに見たことがあるんだと。
ですから、「耳にする」と同様で、印象が弱いのかな。使う場面としては。

岩見銀山の携帯式音声ガイド
耳にする音声ガイド、こちらは「装着する」という意味です

続いて「口にする」。ただし、口に出すと同義の会話系は除きます。
どうなんでしょうね、ニュアンスとしては。
印象の薄さが共通点だとすれば、「味わってはいないけど、食べたことがあるよ。いつだったか、わすれちゃったな」ってな感じか。
うーん、なにか違いますね。

例えば「朝からなにも口にしていない」と言う場合、食うと飲むの両方ですよね。
とちらともいえない、双方を兼ねるといった場合は、使い道がありそうです。
でも、そもそも使わないか。
ちなみに薬は、ひらがなの「のむ」です。本来、「薬を呑む」なのですが、表外字であるために「のむ」を使用。
「飲む」は、水を含めた飲料イメージですよね。
「液状の薬は飲む」なんて解説もありますが、そういうことを言ってるから、ややこしくなる。
喉の渇きの解消か、必要に駆られた摂取なのかの別で、いいじゃないですか。ねえ。

最後、「鼻にする」。
これは、完全にピアスです。
「嗅ぐ」の言い換えであった試しはありません。
なぜなんでしょうね。五感の中で、もっとも印象が弱いからでしょうか。

この香り、とこかで嗅いだことがある

これで十分。
お香絡みで、嗅ぐことを「聞く」と言ったりしますが、これはまた、別の話。
ちなみに、おなじ「ニオイ」でも、「匂い」はプラスイメージで、「臭い」はマイナスイメージです。常識ですね。

まとめとして、「目にする」「耳にする」に限り使う意味があり、その効果は「弱い印象ニュアンス」であると。
ですから、ホントかどうかを確認するQ&Aのようなテキスト・・・のQの部分・・・では、相性がいい。
前から気になっていた直接的な体験なら、「見た見た、見たことがあるぞソレ」「金融系の会社で、よく聞く話だよね」ってことになる。
体験のカミングアウトで、「ワタシ、目にしたことがあります」なんてのは、ピントがボケる。
やはり、定かではない物事を確認するときの相性がドンピシャです。
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[3332] ギョーカイ用語、「診断をつける」と「契約書をまく」の意味

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

今回は、取材でたびたび耳にする業界用語。
まずは、「診断をつける」ですね。
ニホンゴ的には、「診断を下す」になるのかな。

じゃあ、なぜ医師は「つける」を使うのかというと、おそらく、医師が自分で考えてやっている行為ではないからだと思われます。
一般的には、医療ガイダンスなどのマニュアルがあって、症状や検査結果の該当を追っていきながら、病名にたどり着くわけです。
つまり、自分で下しているんじゃない。
どちらかというと、「見当をつける」に近い感覚。
絶対じゃないけど、マニュアルを見たら、この病気の可能性が高いよと。
なんていうのか、断定はしていないのです。病名というシールを、暫定的につけている感じ。

この説、かなり自信があります。
また、「診断をつける」は、テキストでも使っています。繰り返しですけど、見当をつけるに似ているんですよね、診断って。

小松菜のハウス栽培
種をまいておけば、やがて実りのときを迎える

続いて「契約書をまく」です。
感覚値として弁護士の9割が使うものの、かなりな違和感を覚えます。
そこで、いろいろと調べてみたところ、「巻く説」というのがありましたな。
昔の書物は巻物だったことから、こしらえて保管しておくことを「巻く」というのだと。

これ、おそらく違う気がします。
現場の弁護士は、「まく」を「↑↓」と発音するんですよね。矢印の向きは、音の高低です。
「巻く」だったら「↓↑」になるはず。

また、やり直しを意味する「蒔き直し説」も、ピタっとこない。
やり直しニュアンスって、ないんですよ。そうじゃなくて、「とりあえずつくっとけ」的な意味あいが強い。初手なんですよね。

そこで自分の推測ですけど、おそらく「蒔く」じゃなかろうかと思います。種まきなどの蒔くです。
下地を整えとくというのかな。トラブル防止のタネ種を蒔いておいて、イザというときに収穫すると。
蒔くには、広く頒布するという意味あいもあるじゃないですか。
いろいろなケースを考えておこうよ・・・的な蒔く。

こちらは、「診断をつける」に比べて、自信がないです。
テキストでも使いません。「契約書を結ぶ、締結する」などです。

[3331] 肯定にも否定にも読める「じゃないの」

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

先日、編集部から振ってきた仮のお題が、
「○○○○・・・これって風邪じゃないの」
というものでした。

すぐに気づいたんですが、二通りに解釈できますよね。
「風邪なのかしら、どうなのかしら」と、「風邪とは言いきれませんよ、むしろ違うんです」というニュアンスです。
標題のように、肯定にも否定にも読める。

日本語には変なところがあって、否定形が「否定」と「強調」の、両方の機能をもっているんですね。
ほかにも、例を出してみましょうか。

「イチゴって、果物じゃないの」

さて、どちらのニュアンスでしょう。
果物以外に考えられない。だってそうでしょ。・・・強調です。
へー、ツルに生えるから野菜なんだ。知らなかった・・・否定です。

富士宮やきそば
「ビールにピッタリじゃないの」・・・じつは相性が悪かったりして

よって、否定形を使うときは、慎重に対処しないといけません。
ドッチなんだか、前後の趣旨を読んでもわからん・・・・というケースは、結構、あります。
とくに、強い主張をする場面で、強調系の「ない」が使われますよね。
「一緒にやっていこう・・・じゃないの」
ともに手を取ろうよ、頑張ろうよ・・・なのか。
そんなことを言っている場合ですか。もっと反省しなさい・・・なのか。

ライターである自分は、このジレンマに対しある程度の免疫をもっているのため、比較的早い段階で気づきました。
一方の編集は、不注意に使ってしまったということです。
今回は、編集の了承ナシに、仮タイトルを変えました。
だって、どう考えても二義が起こりますよね。

加えて、以前にも書きましたが、「あるのではないか」という表記って、どうなんでしょう。
見た目の上で肯定してんだか否定してんだか、いまいちわからない。
「あしたがあるじゃないか」・・・二義は起こりにくいけど、避けたい表現。
「あしたがあるじゃないの」・・・二義が出ます。「そんなにノンビリしていていいんですか」ニュアンス。
一文字で違うんですから、ひっくるめて封印。
要は、主観混じりだと、正しく書けないということ。
必要なことは、他人がどう読むか・・・じゃないの。

[3330] どう使いわける? 恒常的、一般的、限定的、例外的

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

今回は、頻度を表すコトバについてです。
まずは、頻繁に使われる場合から。
なお、「多くのケースで」「第一優先としては」などでもいいのですが、「○○的」という言い方に絞って進めたいと思います。

個人的には、「一般的」の一択ですね。
「恒常的」って、コトバが大げさすぎませんか。
それと、「一般的」には、幾分の逃げ道があります。メジャーであることを示しつつ、「絶対ではないよ」という含みをもたせた、大変便利なコトバです。
多頻度のときには「一般的」の一本でよろしい。そう、言い切ります。

滋賀県の「茶しん」で見られた「みかづきイタリアン」
やきそばにミートソースは「例外的」か「限定的」か

続いて、マイナーな場面です。
これも個人的な感想ですが、「限定的」と「例外的」では、コトバの意味が異なっていると思っています。
「限定的」は限られたケースや地域なんだけど、その範囲の中では一般的というニュアンスです。
ご当地グルメなんかが該当しそうですよね。
ほか、「温シップで暖めるのが一般的だが、急性疾患の初期では、限定的に冷シップを使う」なんて使い方をします。
言い切り可能なケースも多いです。

対する「例外的」は、ご当地色が若干、薄い。
そのせいか、言い切りではなく、「することもあります」的な蛇足と相性がいいです。
使い方の例としては、「一言で尿路結石と言っても、例外的に、痛みを伴わない場合もあります」など。

要は・・・。
例外が広範囲にわたって薄く分布していると「例外的」。
例外自体は少ないものの、狭い範囲に密集していると「限定的」。

別段、そういうキマリがあるわけじゃないです。
でも、この決め打ちでいいんじゃないでしょうか。
少なくとも、自分が手掛けるライティングはそうしています。いままで、指摘や直しを受けたことはありません。
全体的にまばらか、局所限定集中か。

そもそも限定って、「(その範囲に)限って定められたコト」ですからね。
限定エリアの中では、普遍性があってもいい。
「オートマ限定免許」といったら、みんなオートマ。
ただし、免許保持者全体から見れば、マイナーなグループ。
なお、この特性を利用して、まばら感の違いを打ちだすこともできます。

沖縄では例外的に、ケチャップ味のやきそばが出てくる・・・異端っぽいニュアンス、受け方によってはネガティブ。
沖縄では限定的に、ケチャップ味のやきそばが出てくる・・・ご当地っぽいニュアンス、受け方によってはポジティブ。

そんなに変わらんか。

[3329] 「~なんですよ」は、我説をあたかも一般認識に思わせるトリック

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

最近、よく耳にする、「~なんですよ」という言い方。
自分が思うに、イイ「なんですよ」とワルイ「なんですよ」の2種類があります。

イイ「なんですよ」は、理路整然としていて、すんなりのみこめる。
「湿布って、日本独自の文化なんですよ」
「えっ、そうなんですか。他の国はどうしてるんです?」
「塗り薬か内服薬だよね」
以上、終了。
理由が明らかに示されているから、疑問の湧く余地すらない。

他方、ワルイ「なんですよ」は、のみこめずに吐き出す。
バラエティ番組『トリニクって何の肉』を見ていると、ダレノカレさんやら、おまめ・こまめ師匠やらが、さんざっぱら使っています。
「あの丸いタンク(ガスタンク)の中には、お米が入ってるんですよ」
でしたっけ?
理由がまったくなくて、完全な思い込みですよね。

桃屋の「ご縁ですよ」
「桃屋」の公式サイトで配信している「ご縁ですよ」というコントドラマ

あの言い方、我説をあたかも一般認識に思わせるトリックであることに気づきました。
本来のイイ「なんですよ」は、理由が明らかで、説得力のあるコトバ。
その勢いだけを形式的に借りて、思い込み我説に信頼性を付与しちゃおうと。

「ピーマンって、本当は食べ物じゃないんですよ」
「貝って、岩が削られて生まれるんですよ」
「日本酒用のブドウがあるんですよ」

全部、我説。我説ではあるけれど、ソレっぽく信じてもらうために、「なんですよ」を付ける。
ですからね、インタビューをしていて、「なんですよ」が出てきたら要注意。
「前立腺がんなんて、放っとけばいいんですよ」
「がんなのに、どうしてですか」
「罹患率は高いけど、死亡率は低い。いずれ、ほかのがんで亡くなる確率のほうが高いんだから」
・・・どう思いますか?
事故などで亡くなった方の司法解剖をしたら、3人に1人が、前立腺がん持ちだったそうです。
そのくらい、「抱えていても普通ながん」が、前立腺がんなんだと。
実際にこの人たちは、前立腺がんではなく、事故などで亡くなっています。
・・・どう思いますか?

自分は受けいれなかった(記事には残さなかった)んですが、半分、主張が入ってますよね。
主張なら、別にいいんです。
あなたのお考えを述べてください。
そうじゃなく、あたかも一般認識に思わせるためのトリックだとしたら、やめてクレって話。

裏付けがバッキバキで揺るぎようのない事実を示していれば、イイ「なんですよ」。
ロジックが明確でなくて、言葉尻だけで傾斜をかけようとしていれば、ワルイ「なんですよ」。
「ご飯ですよは、桃屋ですよ」
ノリのつくだ煮は、桃屋限定だと。他社の製品なんて目もくれるなと。そういうバイアス“なんですよ”、このコピーは。

[3328] 完了次第、完了し次第、完了しだい

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

「~したら、速やかに」という意味の「次第」。
たとえば、「商品を受け取り次第、代金を振り込んでください」。
これは、動詞+次第 ですよね。

となると、「商品が到着次第、代金を振り込んでください」は、名詞+次第 なので、間違いなんでしょうか。
「商品が到着し次第、代金を振り込んでください」とすべきなのか。

うーん。どっちも使うような気がするけどな。
ちなみに、「決めるのは、アナタ次第」のような 名詞+次第 は、また別の話なので省略。
問題は、「~したら、速やかに」という意味においてサ変を省略できるのか・・・という1点でしょう。
いろいろと、調べてみました。

日経の「完了し次第」の用例
サ変「アリ」とする、日本経済新聞の文章例

まず、記者ハンは、なにもいってきません。
内在する問題なんて、これっぽっちもないよと。スルーですな。

次にニュース検索ですが・・・。
「次第」で検索すると、「米次第」や「情勢次第」など、アナタ次第系ばかりが出てきてしまいます。
かといって「し次第」で検索すると、日経記事のような、サ変「アリ」記事ばかり。
公平な比較ができません。

そんななかで見かけたのが、NHKの研究です。
独自調査によると、「完成ししだい」とは言わない人が圧倒的に多かったそうです。
・・・ちなみに、なぜかNHKさんは、次第を「しだい」とひらいてきますな。
「しだい」とは書かない人が圧倒的に多いと思われますが。
それはそれとして。

サ変の「し」と次第の「し」が連続しますから、言いにくい部分はあります。
それは当然、読みにくさとも関係していて、テキストだからウンヌンって話ではないでしょう。
あっ、日経の記事を見ていて思いついたんですけど、「し」で終わる名詞+サ変+次第というパターンも起こりえるわけで。

「出資し次第」なんてことになってくると、シュッシシシダイですよ。
「貸し出しし次第」は、カシダシシシダイ。わけわかりません。読んでいてもおかしいですよね。

妥協点として、「受け取り次第」と「到着次第」が並んでいたところで、表記揺れがあるとは思われにくいですから、ケース・バイ・ケースでいいんじゃないですかね。つまり、動詞+次第 と 名詞+次第 の混在可ということです。
ただし、「到着次第」としたら、最後まで「到着次第」。こちらは、サ変抜きで統一ということ。
「到着次第」と「完成し次第」が並んでいるのは、好ましくありません。

さーて、またあすから、原稿が変わっちゃうな。
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てつまる

Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

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