[2322] 新聞のひらがな化傾向-その1-

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

新聞は、コトバの生き字引だと思っています。
辞書だと、編集に何年もかかってしまうため、世に出た時点で「タイムカプセル」なんですよね。
日々の変化をダイレクトに感じる即時性という意味では、どうしても新聞にかなわない。

で、今回取り上げたいのが、接続詞の「ひらがな化」について。
サンプルは某日の読売新聞。
まず、気付いたのは、「とくに(特に)」でした。
以前にも書いたと思いますが、比較的最近の傾向で、自分はすでにデフォルト化しています。

接続詞のひらがな化
「とくに」「じつは」「いただく」の各サンプル

次は「じつは(実は)」。
「じつは」はですね、後に続く文で「は」のダブリを起こしがちなため、使用を控えているんです。
じつは、それを知ったのは、会社の中では、自分が最初だった・・・こんな感じ。
なので、どうしても使いたい場合、「実のところ」を代用しています。
それはそれとして、ひらいてきましたね、「じつは」。
まあ、いつかはそうなるんじゃないかと、予想していました。

ビックリしたのは、「いただく」のひらがな表記。
接続詞ではないですけど。
自分は、副詞的用法のときに限り、ひらがなにするとばかり思っていました。
副詞的用法というのは、「ご覧になっていただきます」とか「取っていただけませんか」のような敬語表現です。
「いただく」そのものに意味がないので、GETを意味する「頂く」とは、区別すべきだろうと。
ところが、オールひらがな化してきましたな。

もちろん、「山の頂き」なんて使い方は、残るんでしょうよ。
そうではなく、動詞と副詞に関しては、もはや「いただく」だと。
たしかに、表記が揺れるという問題は、以前から指摘されていたんです。
動詞と副詞的用法の見分けがつかない人にとっては、バラバラに映る。
「資料を頂く」としておきながら、他方で「資料を譲っていただけないか」と書いているわけですから。
これは倣いましょう。
ただちに、デフォ化。

エト、上記の文で、お気づきになったでしょうか。
「たしかに(確かに)」と「ただちに(直ちに)」は、意図的にひらきました。
この辺も、時間の問題だと思われます。
標題で-その1-としたのは、今後も定点観察を続けていくからです。
また、気付いたことがあったら、そのときにまとめます。
スポンサーサイト

[2321]「い」抜きコトバは本当にNGなのか

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

いつも飲んでる牛乳、きょうもおいしかった
いま、温めてる企画があって、そのうち発表する予定
知ってる、持ってる、集めてる

「い」抜きコトバって、そんなに忌避すべきですかね。
記者ハンを使っている限り、要注意サインが出るので、見逃すことはありません。
そのうえで、こっそり使ってるケースって、ありますよ。商業文であっても。
事実、「知ってる、持ってる、集めてる」はCMのコピーですからね。

小田原の民家
これは「居抜き」、間に合わせの茶濁でございます

また、下記のような「ん」の併用例を考えてみてください。

泣いているのか、笑っているのか、わからない
泣いてるのか、笑ってるのか、わからない
泣いてんのか、笑ってんのか、わからない

記者ハンは、この「泣いてんのか」に対し、「泣いていんのか」ではないかと言ってきます。
オマエはアホか。
どこに、そんな日本語があるんだ。
このようにですね、「い」抜きコトバを四角四面に論じようとすると、かえって不都合が起きる。

文法的にいえば、「居る」は継続を表すので、その肝心な「居」が抜けてどうするんだ・・・といったところなのでしょう。
でも、そこまで「泣いている」に継続トーンを求めるかな。

まだ、あの映画、やってます?
売ってます、銀玉鉄砲
黙ってないで、何とか言いなさい

あっ・・・「い」が入った文と比較しようと思ってたら、記者ハンは、「黙ってないで」を見逃しました。
泣いてないで、笑いなさい・・・同じくセーフ。
何じゃ、そりゃ。
結局、「ら」抜きは気持ち悪いけど、「い」抜きは使いようじゃないですかね。
それに・・・てるって、リズムがいいんですよ。
みんなが読んでる新聞紙、逆から読んでも新聞紙・・・みたいな。
みんなが読んでいる新聞紙じゃ、字余りでしょ。
自分は、チャレンジしてますけどね。許されるときなら。

[2320] 紹介文でダブりがちな「いる、ある、できる」を避ける方法

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

市内を歩けば、至るところで、名産のジャガイモを見かけることができる。
また、駅の北側には、美しいケヤキ並木が並んでいる。
親子で楽しみたい、この秋オススメのスポットといえる。

こんな感じで、スポットやお店の紹介文では、どうしても「る」系を多用してしまうのである。
一度この文調で始めてしまうと、なかなか抜けられないのである。
これ、直していくのに苦労するんです。

とりあえず手っ取り早いのが、体言止めや、「だ」で終わる文にすること。
「また、駅の北側で存在感を誇るのが、美しいケヤキ並木(だ)」
臨場感のようなトーンは抜けてしまいますが、やはり、ダブリによるしつこさ回避を優先したいところです。

ドラクエバージョンのコンビニ
練習として、アキバにあるドラクエバージョンのコンビニ

「アキバならではの雰囲気を楽しむことができる」
なんていう紹介文を書きがちですけど、ここは、できるだけ避ける練習をしてみましょう。
「アキバ探索の楽しみは、この街ならではの店舗装飾(だ)」

ほかに、あえて否定形に振るという方法があります。
要は、「ある」とか「いる」に偏ってしまうなら、「ない」にしちゃえという発想です。
「アキバには、独特の外観をまとった店舗が少なくない」

では、体言止めと否定形を使って、冒頭の三連続に見直しをかけてみましょう。
市内を歩けば、至るところで、名産のジャガイモの姿を良く見かける。
また、駅の北側で存在感を誇るのが、美しいケヤキ並木。
この秋、親子で行けば、盛り上がること間違いなし。

・・・あくまで語尾の話ですからね。文章の中身はテキトーに書いてます。
体言止めと否定形で、「る」系の頻度を3分の1以下に落とすことが目的。
だいぶ、読みやすくなったのではないでしょうか。

[2319] 読点「、」でわかる、カード会社の品位

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

きっかけは、某クレカのDM。
冊子を開いてみたら、表2の部分に、こんなあいさつ文が載っていました。

拝啓
秋の清流にたゆたう赤蜻蛉たちが、水面に映す姿をめでる季節となりました。

おおげさというか、ゴージャスで来たというか、とにかくビックリしてしまったわけです。
そして、一息入れたところで、「が、」の位置がおかしいことに気付きました。
これだと、主語が赤蜻蛉になってしまいます。
赤蜻蛉が、(何かの)姿をめでる・・・って意味ですよね。

秋の清流にたゆたう赤蜻蛉たちが、水面に映す「紅葉の」姿をめでる季節となりました。

ん? ちょっと待てよ。「映す」が述語なのか? トンボが何かを水面に映して、それを誰かがめでているのか?

・・・だから、いつも言っているじゃないですか。
読点は、息継ぎの位置で打つものじゃないの。
主語と述語の関係や、形容詞のかかり方を制限するために打つのっ。

蜻蛉団のバナー
蜻蛉つながりで、懐かしのブツを引っ張り出してきました

読点の位置で意味が異なる例を、いくつか出してみましょうか。

スタッフが、安全と思える食材を求めて、全国から取り寄せました。
→この場合の「安全」とは一般即です。「スタッフが」は「取り寄せました」につながります。
スタッフが安全と思える食材を求めて、全国から取り寄せました。
→この場合の「安全」とはスタッフの感覚です。「取り寄せました」の主語は、ここに書かれていない誰かさん。

お客様が、使わなくなった廃品の中から、お好きに持ち帰っていただけます。
→持ち帰れるのは、お客さん。
お客様が使わなくなった廃品の中から、お好きに持ち帰っていただけます。
→持ち帰れるのは、ここに書かれていない誰かさん。業者とか。

あいさつ文なので、目に見える害はないけれど。
サービス説明でコレやったら、致命的ですよね。
さらにやっかいなのは、誤法を解消しようとすると、読点がまったくない文になってしまうこと。

秋の清流にたゆたう赤蜻蛉たちが水面に映す姿をめでる季節となりました。

だから、こんなのは悪文にしか過ぎないのです。ゴージャスさがかえって軽薄に映る。
主語がはっきりしない。
一つのまとまったセンテンスの中に動詞が三つも使われている。
他動詞「映す」の目的語がない・・・おそらく「映る」としたかったものの、「めでる」と語尾がかぶるので、文法を無視した。
あー気持ち悪い。

[2318]「じ」か「痔」か、常用漢字外のケース・バイ・ケース

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

別に「じ」である必要はないんですが・・・。
常用漢字外を使った名詞は、基本的にひらくか、かっこでヨミを振るのが原則です。
例えば「泥水石鹸」なら、「泥水せっけん」もしくは「泥水石鹸(せっけん)」。
記者ハンを使っている限り、その辺はもれなくやってくれるので、抜け・漏れの心配はございません。
ただし、それが足かせになる場合もあるんですよね。
その代表例が、いまやっている肛門科の原稿です。

まず、前提として、ほとんどのサイト訪問者が「痔」についての情報を探しています。
このとき、バカ正直に「じ」で通してしまうと、かえって読みづらくなるんです。
「じのことなら、遠慮なくご相談ください」
まあ、こういうときは、ヨミなしで「痔」にしてしまってもいいと思うんですよね。
もちろん、最初に出てくる1文字目も含めてです。

色温度をテストする手作りトーン
都内の某肛門科で撮った、カメラの色温度テスト

あくまでマイルールであり、「そうあるべし」と主張するツモリはございません。
ただ、編集から戻しがあったときに、「これこれ、こういう理由だから、いいんじゃないの?」と説明が付けられれば、原理・原則に従う必要なんてないと思うんですよ。
読みやすさで判断していい。
そう、思いませんか。

「痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう(あな痔)」
これ、バカ正直にやると、こうなります。
「じ核(いぼじ)、裂こう(切れじ)、じろう(あなじ)」
やっぱり、テキストとして頂けないんですよ、これでは。

なので、特定の条件下・・・読者がそれ相当の知識を持っている場合・・・では、記者ハン無視でも構わないのではないかと。
常用漢字外の対応は、あくまで一般読者を相手にする場合のみ。
もっとも、一般読者がどれくらいいるのかという割合には、注意を向けなきゃいけないですけどね。
肛門科のサイトテキストなら、「じ」は「痔」でしょう。
そうじゃなく、一般的な外科医院でお尻の病気も診ている場合は、ちょっと悩みます。

[2317]「特に」と「とくに」、本文ではひらく朝日新聞

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

いつからなのかは不明ですが、朝日新聞は「とくに」を使うんです。「特に」ではなくて。
前提として、「接続詞はなるべくひらがなで」という不文律があり、

従って→したがって
一体、どうして→いったい、どうして
又は→または

などは、市民権を得てきたような気がします。
この流れなんでしょうかね。
ただ、朝日新聞のなかでも揺れがあって、見だしのような「字数制限がキツイ部分」については、「特に」を持ってくることがあります。
ちなみに読売新聞は、いまのところ「特に」派のようです。

「とくに」と「特に」の表記が並ぶ朝日新聞
見だしと本文の分けというより、単なる「過渡期」という気もしますが

じゃあ、一方も「いっぽう」なのかというと、まだ、そこまでには至っていないようです。
この辺は、メディアでの使われ方に注意しつつ、臨機応変に対応していくしかないでしょう。
メジャーになってきたら、その時点で変更。
以前、「メイン」が「メーン」をへて、結局「メイン」に戻ったいきさつを取り上げましたね。
何がきっかけになるのかわからないですけど、コトバは変わっていきますから。

個人的なことを言うと、「とくに」が気に入ってしまったので、もうデフォルト扱いにしています。
使っていて気になったのは、文頭ではなく、文中に登場する場合。
「これといって特に注意点のない場合は」
「最後まで特に問題がなかったのであれば」
これ、注意していないと混じりますよね。
また、特区や特別は漢字ママなので、「とくに特区では」みたいな表現だと、むしろ使いやすくなってくる。「特に特区では」って、見た目、変ですものね。
この、後者の利便が、ものすごくメリットです。
よって、「とくに」大好き。
お仕事のお問い合わせ
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
プロフィール

てつまる

Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

最新記事
カテゴリ
お世話になっているサイト様
最新コメント
最新トラックバック
コトバカウンター
special thanks to
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR