[1383] 「は」と「が」の違いは、条件付けと主格

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

前回、東京「は」神田の生まれ・・・などで使われる「は」には、条件設定の意味があることを説明しました。
東京というアイテムに、神田属性を付けるようなイメージです。
「私は人間です」という場合も同じ意味合いで、私に人間というフラグが立つわけです。

これがわかっていると、「は」と「が」の違いを明確に説明することができます。
「が」は主格を表すインジケーターのようなもので、これが付いていると、主人公がわかる。
一方の「は」は、厳密に言うと動作と関係なく、条件付けに過ぎないのです。
「このバスは、美術館まで行きます」という場合、あくまでバスの描写表現。
「このバスが、美術館まで行きます」なら、だれがどうするという、主格と動作の記述。
何となくですけど、違いがわかりますかね。

1383.jpg
「ハガでの鬼」・・・ということで、節分的な茶濁でございます

もう一つ重要なのは、時間的な感覚も違うということでしょう。
「私が人間です」の場合、例えば神様の前にいろいろな生物が集まり、もともと人間だった者が名乗りを上げた感覚。
「私は人間です」なら、神様がサルか何かと勘違いしていて、そうじゃないよと、「私は人間属性だよ」と、そのとき始めて宣言したニュアンス。

もう一例。
「このときポケットに入っていたのは、一枚のビスケット」・・・そんなこと、始めて知りました。
「このときポケットに入っていたのが、一枚のビスケット」・・・イザというときのために、知っていて残しておいたんです。

「正月のテレビは退屈だ」・・・年が明けてからじゃないと言えません。
「正月のテレビが退屈だ」・・・年末から知っていました。予言しちゃいます。

「は」の条件付けは、宣言時以前に波及しない。
「が」の主格明示は、時間を問わない。
「人気なのは、この商品」・・・ちょっと前まで、そうでもなかった。
「人気なのが、この商品」・・・すでに街の定番。
あっ、これ、気をつけて使い分けないといけませんね。
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[1382] 東京「は」神田の生まれ・・・などの「は」

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

サイトコンテンツのあいさつ文などでは、

皆さま、はじめまして。藤沢駅の近くで「藤沢商店」を営む、藤沢子と申します。

なんて始まり方をするのが定法です。
ところがマイナーな地名や駅名の場合、より広い範囲の地域属性と絡めたくなるんですね。
例えば「踊場駅」なんて、どれだけの人が知っているんでしょうか。
そこで横浜市をかぶせたりするわけですが、どうも、しっくりこない。

横浜市の「踊場駅」の近くで・・・のがカブリます。
横浜市の「踊場駅」近くで・・・ごまかし感たっぷり。
横浜市内、「踊場駅」の近くで・・・いまいち。

ここで悩むのが「は」の使用です。
横浜市は「踊場駅」の近くで・・・という書き方って、ときどき見かけますよね。
あれは、どういうロジックというか建て付けなんでしょう。

1382.jpg
多くの辞書が引用する「東京は神田の生まれ」

『新明解』さんによると、「は」には条件設定の用法があるのだとか。
例えば、「私は男性です」の場合、ある種のフラグ付けですよね。
「横浜市は戸塚区にある」も同様、地域を絞り込んでいることになります。
一方、「食べては寝る」のように、条件の併記にも使われる。

あとは、使うかどうかですね。
文法的には合っているかもしれないけど、周知されていない表現なら控えるべきでしょう。
むずかしいですね。
ただ、使えると、かなり楽なんですよ。
こればっかりは、いくらワーディングの代替を考えても、思いつきませんでした。
横浜市のほぼ南端に位置する「踊場駅」の近くで・・・みたいな、余計な装飾を付けるしかないみたいです。

結論・・・暫時、見送り。

[1381]お好きなほうと方、ご持参のうえと上

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

「方」と「ほう」、あるいは「上」と「うえ」の書き分けについてです。
記者ハンはともに「漢字で構わない」としていますが、ひらくメディアもありますよね。
これはですね、例えば「方」の場合、「ほう」と「かた」の誤認を避けているんだと思っています。
お好きな方・・・だけだと、どっちだかわからないわけです。

実際は、後に続く助詞で識別できるんですけどね。
人は主格になるので、お好きな方は・・・だと「かた」なんだなと。
目的格として、お好きな方を・・・とくれば「ほう」だなと。
じゃあ、これだとどうでしょう。

お好きな方のみ、お持ち帰りいただけます

「かた」だとすれば、数量制限はありません。
「ほう」なら、二者択一を迫られます。
参りましたね。
現実としては、「かた」を「方」にして、「ほう」を「ほう」にしています。
紛らわしいようなら、ワーディングを変えましょう。

1381.jpg
焼き鳥「フリーク」は、お好みの「串」を

一方の「上」。
記者ハンは同じく無頓着。
誤認するようなケースも考えられない。
でも、ご持参のうえを多用しています。
これはですね、続く言葉によって、ニュアンスが変わってしまうからなんです。

ご持参の上物入れにお預けください。

「上物入れ」を持っていくって何?・・・ってことになりかねない。
まあ、読点を打てばいいだけの話なんですけどね。
とはいえ、仕事ベースのテキストでは、「うえ」にしておいた「ほう」がいいんじゃないかな。

キリがないように思えますが、語尾の漢字関係に限定するなら、この二つをチェックしておけば十分。
あっ、「なか」と「中」がありましたが、これについては [348] で書いています。
よく間違えるミスと一緒にログ化しておいて、納品前に、[編集]-[置換]でやっつけましょう。
ただし、一括変換してしまうと、上野が「うえ野」になったりします。ご注意を。
めんどうでも、逐一、[次を検索]で探すしかないですな。

[1380]わかったうえでの漢字とひらがな

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

文章は意図を届けるツールです。
ルールを優先し過ぎて意味が伝わらないとしたら、まさに本末転倒。
逆に、ニュアンスを強調したい場合などは、王道から反れたっていいんです。
特に、タイトルコピーなんかでは、あえて「記者ハン」に逆らうことがあります。

例えば、「貯まる」という漢字。
記者ハンでは、「溜まる」とともに、ひらがなを推奨してきます。
でも、ファイナンシャル系のヘッドコピーだったら、迷わず「貯まる」を使いますよね。
「たまる」って言われても、ピンと来ないじゃないですか。

ほか、時制のほとんども、ひらがなを使いなさいと言ってくる。
明日ではなく「あす」。今日ではなく「きょう」。
「みょうにち」や「こんにち」などのヨミと区別するためだそうですが、ドッチだっていいって。
それより、「きょうよりあすのために」なんて幼稚っぽさを避けるほうが先決だと思います。

1380.jpg
読みやすさや字面で決める場合も

以前、泉区の地名を取材したとき、「いずみ派」と「いづみ派」がいることを知りました。
山ガハでも、「引地川」に関して6類のヨミが考えられるという調査をしましたよね。
「ひきちかわ」や「ひきじがわ」など、実際に4パターンが混在していたのでした。
こういう主義主張がらみも、なくはない。
「J」じゃなくて「G」なんだという意図を込めて、「ヂ」を使う場合だってあるでしょう。
お尻の病気以外、うまい例が思いつきませんが。

一方、マイルールではありますが、医療系コンテンツに限り、「目指す」をさけて「めざす」にしています。
「痛い病院はやだなぁ」と思っている人に「目指す」って、逆効果ですもんね。

目の不安「ゼロ」を目指す中央眼科

なんてイヤですよ。やっぱり。
ですから、必要最低限の日本語をわかっていて、なおかつイジルのはOK。
というか、そんなことは自分で決めればいいんです。
「時間を殖やす」とすれば、工夫しているニュアンスが出るじゃないですか。
「お得用」に対する「お徳用」だって、もともと造語ですからね。

[1379]「が」の繰り返しについて、使い方再考

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

いままで、一つの文中に同じ助詞がカブることを、ひたすら避けまくっていました。
唯一「の」だけは例外みたいですけど、それすらも回避しようとしていたわけです。

いくつもの味覚「が」繰り返し味わえるの「が」、このスイーツ「が」持つ特徴だ

ところがですね、最近になって、あまり原理主義にこだわり過ぎるのもどうか・・・という気がしてきました。
文意優先、小手先二の次。
試しに、直近の原稿から、引っ張ってみましょうか。

多くの情報「が」飛び交い過ぎ、医師「が」正論を説いても、否定される場面すらあるほどです

おそらく以前なら、
あまりに多くの情報「が」飛び交い過ぎ、医師の正論を否定される場面すらあるほどです。
にしていたと思います。
ただ、これだと、後半がもたつくんですよね。
肝心な「医師が否定される」というニュアンスも、埋没してしまいます。

1379.jpg
繰り返しも美学になり得るという茶濁

もう一例。今度は「を」です。

目的「を」しっかりご理解いただいたうえで、満足のいくゴール「を」めざしましょう。

修正例
目的「を」しっかりご理解いただければ、満足のいくゴールが見えてきます。
ムリムリ直してます。
以前は、これが正解・・・というか仕事だと考えていました。
しかし、修正前は共同作業ニュアンスだったものが、修正後になると単独行になっちゃってますよね。
文字面を追いすぎると、インタビュイーの原義からかけ離れていく。
それは、やっぱり正解じゃ、ないんですよ。

もちろん冒頭のような「が」の重複は、悪文以外の何ものでもありません。
そうではなく、助詞を一つの連結器と見立てたときに、機関車と客車の両方がそろっているなら、複合的な車両編成もアリじゃないかと。
機関車が、機関車が、機関車が、客車・・・というのは頂けないわけです。
機関車が客車であり、そして機関車が客車なら、旅もまた楽し・・・これはこれでヨシではないかと。

まあ、難しいですよ。
ドッチも不十分であることがわかりつつ、妥協点を求めるっていうのは。
そのようなときは、原義を残すワーディングが一番。
なので、読みやすさでいうと、直近のスキルは落ちていると思います。
あえて「が」のカブリに甘んじていますから。
いったい、何が正しいんでしょうね。

[1378]「承れません」は正しいのか 謙譲と否定表現のミスマッチ

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

最近、謙譲語の否定表現に、違和感を覚え始めています。
かしこまっているにも関わらず「ハッキリNG」って、何なんだろうと。
顔は笑っているけど、言うことキツイよね・・・みたいな。
そこで、暫定的ですが、ワンクッションを入れるようにしました。

承ることはできません。
承ることは、いたしかねます。
承ったとしても、ご期待に添えない場合がございます。

ストレートに否定せず、「承ること」としたうえで、その可能性をボカすというのかな。
むろん、否定が弱まるぶん、「もしかしたら押し通せるんじゃないか」といったニュアンスは出ます。
どのパターンでいくかは、ケースによりけりでしょう。

1378.jpg
Sorry we couldn’t 的な茶濁でございます

そもそも謙譲+否定ということは、目上の人に対する「反抗」なんですよ、力関係で言えば。
そこをですね、あからさまにレジスタンスしちゃうのは、いかがなものかと。
とくに商業ライティングの場では、こうした気遣い・心遣いが求められると思うんです。
もっと根本的なワーディングがありそうな気もしますけど、残念ながら、思い浮かびません。

個人的な理由から、ノーベル賞を賜れません・・・違和感100
プライベートなことは、申し上げません・・・違和感70
女性社員だからといって、接待出動はいたしません・・・違和感10

申し上げ「られ」ません・・・にしてもいいんですが、賜れ「られ」ませんや、承れ「られ」ませんだと、どうも相性が良くない。
舌をかみそうです。
やっぱり、

個人的な理由から、ノーベル賞を賜ることはできません

になっちゃうんじゃないですかね。
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Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

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