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[2499] 予防医療に健康保険を適用させる小技

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

今回は、記事に書けなかった事柄について。

健康保険というのは、タテマエ上、「病気の人」の治療費用を一部負担するものです。
健康な人の費用まで負担していたら、制度として持ちませんよね。
その一方、今の医療のトレンドは、「かかってから受ける」のではなく、「かからないように受ける」というもの。
つまり、予防です。むし歯なんかが、わかりやすいと思います。

じゃあ、「胃腸内視鏡検査でも受けてみっか」という場合、健康な状態で受診したらどうなるか。
もちろん保険は効かず、オール自費になります。
ところが、一部の医師は、保険をムリにでも適用するんですね。
なぜなら、継続して受けてほしいから。
お金儲けが目的なのではなく、せっかく根付いた健康意識を維持してほしいから。
いつも記事に書けないのは、この裏技です。
答えは簡単明白。さて、どうすれば、健康な人が保険を使えるようになるのでしょうか。

診察室まイメージ
診察室的な茶濁でございます

それはですね、「何かしらの自覚があった」ことにするんです。
胃腸内視鏡検査であれば、問診をして、なんとか「変なところ」を聞きだす。
例えば、「胃がムカムカする」などです。
こうなれば、健康な人ではありませんから、治療に入れます・・・つまり、保険が使えるのです。

さらに言うと、医師から「どうかしましたか」と聞かれたとき、「なんともありません」なんて答えるのは下の下もいいところ。
もちろん、予防のための検診を目的としている場合です。
なんでもいいから、調子の悪いところを告げる。場合によっては、ウソでも可・・・まあ、ウソはまずいか・・・例え半年に1回くらい起きることで今は平気でも、そのことを告げる。
そうすれば、保険診療になります。

なんでもいいんですよ。
食欲が(ときどき)ないとか、大腸検査なら、便秘に(年に1回)なるとか。
なかば医師も言わせたがってるんだけど、患者が気づいてくれないから、延々と問診を続けたりする。
一言「おなかが変だ」って言ってくれれば、双方ハッピーなのに。
でも、それは記事に書けないこと。

要は、予防的な検診を保険で受けたかったら、一言用意しておくこと。
それで、患者扱いになります。
「健康です」なんてのは言い損。少なくとも、今の日本の保険制度下においてはです。
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[2498] 上皇后美智子さまの乳がん記事

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

宮内庁の発表によると、上皇后美智子さまに乳がんの発症が認められたようで。
例の医療メディアから、時事記事の依頼が来ました。

まず驚いたのは、美智子さまが10年来、乳がん検診を受けられていたこと。
乳がん検診の受診率は低く、20%程度なんですね。
それに何より、“庶民的”じゃないですか。
皇族は神様だから病気なんてしない・・・なんていう昭和的発想ではなく、予防医療を受けている人間なんだと。
その点を、ぜひ、ニュアンスに込めたいと思いました。

上皇后美智子さまに乳がん
報道一例としての「朝日新聞」、リンクは貼っていません

次に思いついたのは、上皇さまも、前立腺がんの発表をおこなっていたこと。
取材で聞いたんですが、前立腺がんのリスク判定をする「PSA検査」というのがあるんです。
これが・・・何年からか忘れました・・・あるときを境として、爆発的に広まりました。
そのきっかけが、上皇さまだったんです。

これも、記事に含めたい内容。
つまり、皇族って、いろいろな意味で注目されているわけですよ。それがいいことでも、病気のような内容でも。
なので、受診機会の向上につながったりするのかな・・・という期待はあります。
また、他紙が触れていない内容です。

あと、気づいたこととしては、「死」を思わせる表現が、どのメディアでも使われていないこと。
例えば乳がんに絡めて、女性の部位別がん死亡率が5位であることや、毎年の死亡者数を書くということも、考えられますよね。
また、そうしたデータを日常的に扱っています。
それが書かれていないんです。どのメディアを見ても。
ははーん。これは禁じ手なんだなと。
メディアの編集が知らないで突っ込んでくるかもしれないので、コメントか何かで触れておきましょう。
よく気づいた。我ながらエライ。

医療メディアの時事記事だとすれば、いいロジックじゃないですかね。
事実関係は、コレコレこうですよ。
美智子さまも検診を受けていて、だから早期発見ができたんだね。
かつて上皇さまも、前立腺がんの全摘を受けて、それでPSA検診が広まったという経緯がある。
乳がん検診って、かかる人の多い割に、受診率が低いよね。
・・・「ぜひ、受けてみましょう」だと時事ではないので、ここまで。
うん、他紙にはない切り口だな、満足。文字尺も稼げた。

[2497] 医療ライターなんて、誰でもできる

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

「医療について書けるライターが少ないので、いつも助かります」
なんて重宝がられていますが、そんなに言うほど難しい分野じゃないと思っています。
すべて、自分に当てはめて考えられますから。

例えば、次の取材が、
「大腸内視鏡の痛みを緩和する方法」
についてだとしましょうか。
Webで、「大腸内視鏡 痛み」などと検索すれば、論点はすぐに見つかります。
つまり、

・ケツに刺すときの痛み
・「S状結腸」という通過しにくい部分を通るときの痛み

です。
あとは、これを膨らませればいいだけ。
医学的に・・・なんてことは考えず、シロート頭でいいと思います。だって、読者もシロートですから。
「ケツに刺すときの痛み」には、おそらく麻酔を使うんでしょうよ。
でも、麻酔を使ったら、その後にタダ漏れしないんですかね。
また、スコープの消毒ってどうしているんでしょう。まさか使い捨て?
そういう観点で、まったく構わないでしょう。

事前リサーチに欠かせない検索結果
「大腸内視鏡 痛み」の検索結果

「S状結腸」という通過しにくい部分を通るときの痛み・・・についても、Webを調べれば、論点が見つかります。
ある種のテクニックを用いるみたいですね。
ってことは、上手なセンセーと、下手にセンセーがいるということ。
どうやって見わけるのか、知りたくないですか。だって、下手なセンセーはイヤだもの。
何でも、スコープで、大腸を突き破っちゃった症例なんかがあるとのこと。
また、「介助人」なるスタップが、大腸をゴリゴリ押して通す“ことも”あるそうです。

その一方で、達人クラスのセンセーはどうしているのか。
その方法を、どうやって編み出したのか。
ホントに大丈夫なの? いままでの事故例は?
時間や費用が、かえってかかったりしないの?
シロート頭でも、十分に膨らませます。

なので、「医療 = 難しい」という概念は、当てはまらないと思うんですよ。
むしろ、エライセンセーの言うことだからといってうのみにせず、「疑いの目」を持つことが重要。
たぶん、シロートほど、「疑いの目」を持てないと思います。
医者が言っているんだから、そうなのだろうと盲信してしまいがち・・・。

そこかな、あえて言えば。
「医療について書けるライターが少ない」んじゃなくて、「医師という存在を疑ってかかれるライターが少ない」んだと思います。
あるいは、既存の治療方法をハスに見られるライター。
バカなことを質問すまいなどと思わず、「麻酔をしたら、タダ漏れするんじゃないですか」と聞けるライター。
そういう人材が少ないんでしょう。
「疑いの目」さえ持てれば、医療ライターなんて、誰でもできます。

[2496] 「むらさき」と「黄色」に着目した書評

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

どういうタイミングで振られてくるのかはわかりませんが、定期的に書評を依頼されます。
今回は、第161回直木賞・芥川賞の受賞作でした。

一応、5ケタのフィーをいただいているので、読書感想を書いてもしょうがないでしょう。
何より、「ほかの人が書いていない内容」が必要です。
そこで、Web上のおおざっぱな読書感想を追ってから書くようにしています。ダブリを防ぐためです。

まずは、「パープルの腰巻き女子」みたいなタイトルの作品。
すぐに思いついたのは、「イエローの羽織」と対比関係にあることでした。
紫色と黄色は、いわゆる反対色なんですね。
本来、相いれない色なのに、似たようなイメージとして扱われている。
つまり、単なる「猟奇的な物語」と解するべきではなく、「世間が貼るレッテルの不確かさ」への皮肉が込められているのではないかと。
だって、奇異の目で見られていたパープルさんは、思いの外、普通の女子だったでしょ。
対して、普通と思われていたイエローさんは、犯罪に走っちゃっている。そのうえ変人願望がある。
でも世間は、色メガネで見ちゃっているから、それに気づかない。

利き酒用の杯
「反対色」の性質を生かした杯

ちなみに、杯って、こういうマークや色が付いていますよね。
これには、日本酒の持つ黄色っぽさを際立てる効果があるそうです。
紫じゃないですけど、似たような紺でも、色の判別がしやすい。
それはそれとして。

紫色と黄色の反対色。
この作品の書評や読書感想では、ざっと調べた限り、使われていませんでした。
でも、確実でしょ。作者がモチーフにしているのは。
だとすれば、イエローさんだけの猟奇的なストーリーでは“ない”はずなんです。
大方の人は、そう、読み取ってますけど。
パープルの実は無色、無色の実はイエロー。世間のレッテルはイイカゲン。

よく、犯罪報道でもあるじゃないですか。
「あんなマジメな人が、犯罪を犯すなんて」みたいな類いが。
その延長線上的な世界感なのかなと。

ということで、レッテル貼りのぜい弱性みたいな内容の書評にしたら、一発OKでした。
よしよし、誰もそこに気づいてないもんな。
しかも書評だから、ある意味、言いたい放題。必ずしも事実を扱わなくていい。

もう一方の「渦」。
ここまで長くなっちゃったので圧縮すると、注目したのは、もちろん「渦」です。
そして、渦から発生する“泡”を、次々と現れては消える浄瑠璃の作品群に見立てました。
渦の中でぐるぐる回っているうたかたの魂を、作品で「結んだんだよ」と。
泡に言及している書評や読書感想は皆無。
こちらも一発OK。

ともにタイトルの分析が中心で、中身のネタバレはほとんどしていません。
「こう読んでみたら」的なはなむけの書評。
よしよし、自分で言うのもナニですが、お金をいただいて書く内容になりました。

[2495] プロットの事前提出で難を逃れた例

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

某編プロ(A社)から、新規案件のご相談をしたいと。
ちなみにその案件は、
エンドクライアント→代理店→制作会社→編プロ→ライター
という商流で動いているらしいんですね。
で、その代理店が、現在の編プロ(B社)に不満を持っていると。ズバリ、切りたいと。
そこで、制作会社経由でA社にお声がかかった・・・という経緯です。

ちなみに、何が不満だったのかは、伝えられてきていません。
怖ぇえな、オイ。
二番煎じを踏まないためにも、編プロと、過去作品を分析してみました。
すると、なんていうのか、“淡々とした”ライティングなんですね。
ただ要素を詰め込んでいるだけで、目に入ってこない。

「結論先出しの、ウチでやっているようなロジックにしてみましょうか」

期せずして、自分と編プロの出した答えは一緒。
一応、怖いから、「インタビュー前の仮の原稿」的なプロットも作って、代理店に提出しました。
そしたら・・・。

花ブロックのアールヌーボー
後に向かった現地で、思わぬ収穫

なんと、完全否定されてしまったのです。
どうやら、“淡々とした”ライティングは、ネガティブ要素じゃなかったんですね。
むしろ、事実を積み重ねてから結論を後にする「帰納法」をお好みのようです。

じゃあ、じゃあ、じゃあ、改善すべきなのは中身なのか。
ここは、間に入っている制作会社を巻き込んで、情報収集に努めるしかありません。
何度かメールで連絡を取ったら、やっと、ある程度のイメージができてきました。
さっそく、プロットを練り直したところ、取材前の段階としてはOKとの返答。
やっといて、良かったです。

何回か前の月曜日のコーナーで、
楽だと思われるライター像
について書かせていただきました。
もっとも要となる注意点は、「その担当が想定したとおりの内容になっている」こと。
つまり、論旨展開です。
書いてある中身は同じでも、その順番が違うと、得てしてNGになる。
ですから、自分の「職務経歴書」には、

論旨展開や構成案は、必ず打合せさせてください

と明記してあります。
今回、このプロセスによって難を逃れました。

キレイごとで書いてあるんじゃないの。
いくつも修羅場をくぐってるの、コッチは。
とくに新規で、編プロを切るなんて物騒な案件ですから、なおのこと慎重さが求められます。
有言実行、論より証拠。
ライティングって、取材前の段階で、7割方は決まっているものなんです。
しかも、その是非を左右するのは、エンドクライアントに近い立場の方々。
ライターが決めるなんて、ありえない。オマエは脚本家の先生かって話です。

[2494] 今度は出雲で、バタデン

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

例の「3+1」で構成する、ロケ地の記事。
9月号のお題として降ってきたのは、「中年になって電車を動かすようになった人」の映画でした。
ロケがおこなわれたのは、島根県を走る、「一畑電車(通称・バタデン)」みたいですね。
って、タイトルをボカす意味があるのだろうか。

いろいろ調べてみると、この映画、演者を車掌室にそれらしく座らせて撮り、逆再生して編集したそうです。
つまり、電車を動かしているのは、本当の運転手とのこと。

へー。
おもしろいトピックスだけど・・・記事に求められるのは観光案内です。
自転車が車内に載せられるとか、普通乗車券でも2駅では途中下車可能とか、そういう案内情報を書くべきでしょう。
逆再生の仕組みを知っていたところで、旅の役には立ちません。

ラストランが決まった箱根登山鉄道
バタデンではありません、ちょっと似ている箱根登山鉄道の茶濁

さて、構成ですが、路線案内でいいんじゃないですか。今回の場合。
3駅みつくろっといて、何か1アイテムで締めると。
画像は、観光連盟のライブラリーから借りられるみたいですね。
最近、この手のサービスが増えてきて、とても重宝します。

ところが。
神社仏閣や教会絡みって、画像はあるものの、貸し出し制限のかかることが多いんです。
今回も、そうでした。
出雲大社の画像の場合、直で確認する一手間がかかるんです。
これがめんどい。というか、事実上パスします。こんなの。
でもって、著作権フリーの画像登録サイトを利用します。

そんなことで、出雲大社は確保。
関東や関西からの最寄りとなる、某湖駅も必要でしょう。
残りは、車両の体験運転ができる駅にしました。映画の趣旨がそうですからね。
さて、残り1アイテムを何にしましょう。

実は、某湖七珍とかいうグルメがあって、これを某湖駅の解説の中に入れてしまったので、食べ物以外でいきたいんです。
おっ、現地って、ウサギづいているんですね。
ウサギオブジェや、ウサギを冠したお店が、わんさか湧いています。
あっ、そっか。「因幡の白ウサギ」の神話か。
えっ、あれって、ラブストーリーだったの? そうだっけ?
ウサギがキューピット役をしたから、縁結び信仰になっているわけね?

このメディア。縁結びを推しすぎると、おそらく「若い世代だけがターゲットじゃない」って突っ返されます。
映画の内容的には、家族愛へ結び付けられなくもないけど、ちょっと微妙ですよね。
無理するより、「神話の里」的な方向でいいんじゃないですか。
とりあえず、ウサちゃん確定。
でもって、10月の“神在月”で神様がラッシュしてくる前に、バタデンを体験っと。

うーん、最近、何のヒネリもペーソスもないけど、連載落とされやしネェか? そろそろ。
そう思って、もう一度リサーチし直し、「鳥居の続く参道を線路が横切る珍しい景色」の情報を加えました。
最後の一粘り。それによって縁結びと出雲大社のボリュームが落ちたものの、知りたい人は別途調べればいいわけで、インデックスとして十分でしょう。
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Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

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