[2443] 海のない群馬を、あえて水でまとめてみた

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

9月号の映画ロケ地紹介。
お題は、「昭和最後の年に起こった少女誘拐殺人事件」ということで、群馬県になりました。
映画のタイトルにすると、カタカナ4文字です・・・数字2文字ともいえるかな。
えーと、これ以上は、ネタばらしを控えます。

よしよし、バッチリ山ガハエリア。
知っているだけに、なかなか悩むな。
定番としては、富岡製糸場や伊香保温泉ですな。
藤の季節だったら「あしかがフラワーパーク」だけど、アップは9月なので除外。
ほか、桐生ののこぎり屋根、ジャガイモ入りやきそば、足尾銅山、水沢うどん・・・さてさて、どうまとめますかね。

とりあえず、作中で犯人がたらい回した場所の確認からしていきますか。
印象的なロケ地があったらとりあえず軽く触れておいて、基本は近くの観光スポットへ誘導。
そんな感じでリサーチを進めてみましょうか。

温泉記号発祥地
個人的に好きな群馬ネタだが、ニッチ過ぎるか

おや? 製糸場のある富岡市では、ロケが行われていない模様。
なんじゃい、そりゃ。
世界遺産はどうしても触れておきたいところなので、無理クリ、お隣の藤岡市にある某ドライブインと絡めました。
レトロ自販機やゲーム機が置いてあることで有名なドライブインです。製糸場へ行くなら、ぜひ、途中で・・・みたいなまとめ方でいいでしょう。
映画の時代とマッチしますし、リサーチ段階の候補としておきます。

続いて、スーツケースを橋から川へ落とすシーン。
作品では最大の見せ場ですから、ここも絡めたい。
ところが、みどり市という自然豊かな市町だけに、「草木湖」みたいなネイチャースポットしか見当たらないのです。
うーん、パンチがなくて困った。
暫時保留。

伊香保温泉のある渋川市では、スーツケースの回収シーンが撮影されたみたいですね。
ミステリーにありがちな、陸路から水路への切り替え。
待てよ、「水」って、モチーフに使えないかな。
調べてみたら、製糸業には、繭をゆでたり機械を蒸気で動かしたりするための、大量の水が欠かせないそうです。
富岡という場所を選んだ理由のひとつは水利でした。
さっきの「草木湖」も水じゃんね。
加えて温泉も水と。

よしよし、貫けるテーマが見えてきたじゃないですか。
利根川を主軸にすれば、あらゆるトピックスがひっついてくる。
同作でも、渓谷という立地があったからこそ、陸路から水路への切り替えが行えたと。
まとめは群馬各地で味わえる「うどん」にして、これまた、きれい水が欠かせないと。

こういう「すんなり感」があるときは、手が自然に動きます。
ライティングを任せておける。
問題は観光協会の対応ですけど・・・あの、いままでで一・二を争うほどのスムーズさでした。
県の観光サイトにフリーの素材集が用意され、ご担当者も手慣れてテキパキしている。
全都道府県に見習ってほしいですよ。すごく楽。
いいテーマに、いい支援体制。
こういうときは、いい文章が自然にできます。9月が楽しみ。
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[2442] 3カ月離れたら鈍る、業界専門ライター

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

この間、久々に弁護士案件があったんですけど、かなりメケメケでした。
例えば、相続絡みの「寄与分」。その概念は思い出せるものの、コトバが出てこないんですよ。
「数値で表せるような貢献度合いのこと・・・なんでしたっけ、エート」
状態になってしまいました。

また、最近、相続の仕組み自体に法的な変更があったじゃないですか。
配偶者の「居住権」を重視する考え方というのか。
あれもよく理解できていないまま、現場へ臨んでしまいました。

自分では自信があったんだけどな。
最近、医業バッカやっていたもんで。すっかりサビついていました。
もちろん、表向きには問題ないですよ。
ただ、とっさのコトバが出ないことに、自分でも驚きました。

弁護士事務所イメージ
差し支えないところで、現場撮影の様子

そう考えると、今後、士業を請けるとき、過去実績の復習が必要になりそうですね。
税理士にしてもそう。
書面添付制度とセットで語られがちなリスト・・・あれ、何のリストでしたっけ。
「中小企業が順守すべき項目」みたいな内容なんですけど、ドンズバのコトバを忘れました。
あれ? ホントやばいな。
土地の評価が下がる基準、いろいろあるけど、3つくらい言えるか?
・有効に使われていない広大地
・道路に接していない土地
・斜面
・・・よし、3つくらいなら大丈夫。もう、ギリギリですよ。

不思議なもので、医業のように、継続して関わっている業界の「3カ月以上ご無沙汰なコトバ」は思い出せるんですね。
例えば「コーヌス義歯」。
全然、大丈夫です。きっちり語句説明できます。
EBMと対をなすもうひとつの医療に関する考え方は何ですか。ハイ、NBMです。
よしよし。
こんなこと書いててもしょうがないですけど。

ということで、自らへの戒め。
「特定業種で3カ月以上のスパンが生じたら、初心に返ってみよう。前作に目を通してみよう」
当たり前っちゃ、当たり前かもしれないですけど。
慢心は禁物。
公証役場に公正証書だからね。公正役場なんてないからね。

[2441] 一人称と二人称の視差によるワーディングの違い

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

標題。
ライティングでいうところの一人称とは、メッセージの伝え手 イコール 書き手という意味です。
対する二人称とは、ライターがヒアリングに基づいて文章を書いた状態。
一応、そういう前提にしておいてください。

さて、ある紙媒体で、二人称から一人称への変更が起きました。
そうなると・・・院長は「○○」と言います・・・みたいな文章を、すべて平文へ戻す必要がある。
・・・なのだそうです・・・といった伝聞調も、本人が言っているわけですから、言い切りに直さなくちゃいけない。
でも、まあ、そんなところだろうと思っていたんですな。
実際、多くの出稿元が、それで済みました。
ところが、とある医院から、根本的なダメだしをくらってしまったのです。
いわく、「この内容は、第三者や患者の視点じゃないかと。もっと、医院の立場になって言葉を選んでくれ」と。

向き合うシーサー
単なるひっくり返しではないという茶濁

例えば、「患者さんが嫌がるようなことはしない」という表現。
客観的に見れば、別にどうということのない言い回しですよね。
ところが、行為者の医師からしてみれば、「嫌がる」という言葉自体、ありえないって話なんです。
イジメじゃなくて、治療なんだからと。

もう一例。
今度は、「自分に合った治療」。
これも、患者目線じゃないかと。
合っているかどうかを決めるのは患者、したがって、医師側が使う言葉ではないと。
医師からのメッセージとしては、あくまで「諸事情に配慮したうえで、治療をご提案する」なんですね。

おっしゃるとおり。
たしかに、言われてみれば納得ですよね。
この感覚、多くの先生がスルーしていました。ここまで具体的なワーディングを指摘されたことはありません。
でも、おそらく、そうあるべきなんです。
目からウロコ。まいった、まいった。

なるほどね。
例えば、一人称で「おいしい料理を提供する」ってのも、本来は成り立たないんです。
おいしいかどうかは、食べる側が決めることだから。
まあ、あえて「おいしい」を使うとすれば、

お客さんから「おいしい」と言っていただくために真心を込める

なんでしょう。
一人称と二人称には視差がある。
それによって、同じ意味でも、使うワーディングが異なる。
いい勉強をさせていただきました。
ただし、ここまで気を遣うかどうかは、場合によりけりでしょうけど。

[2440] 題材に乏しい映画のロケ地案内

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

前回に続きまして、またまた、この案件の裏話です。
今回の映画は、「保健所に保護された母子犬のその後・・・」みたいな内容です。
これ以上は、勘弁してやってください。

さて、映画のシーンを調べてみると、これといったスポットで撮影されたわけではなく、それこそ保健所や地元の学校が使われているんですね。
そんなところに誘導して、観光コンテンツが成り立つんだろうか。
あのさ、なんでそんな映画をピックアップしてくるわけ?

しょうがないので、せめて「犬にまつわるスポット」を探そうと、県の観光課に相談してみました。
もう、切り出し方からして無理クリ。
犬に関係する映画だから犬絡みのスポットを教えてクレって、自分が逆の立場だったら、ワケわかんないですよ。
でも、お仕事上、無理でもやらなくちゃいけないの。
保健所を案内したって、おもしろくも何ともないのっ。

親子孫カメならぬ、親子孫イヌ
基本的にネコが好きなもので、ワンコの画像は持ち合わせていません

そしたらですな、なんとっ、県のマスコットキャラクターにイヌを採用しているというんです。
棚からボタモチ、予期せぬ偶然。
やった。もう、いいや。
それだけで、どこを案内しようがイヌつながり。
自分で「犬にまつわるスポット」を探していたら、いつまで時間がかかっていたんだか。
大助かりですよ。

ところが、このボタモチには、カビが生えておりまして。
キャラクター利用の権利を、1年ごとに更新しないといけないんですな。
お役所仕事ですから、年度内で完結させるのが基本。
っていうか、書籍も含めて、みんな、どうしてるんだろう。
バカ正直に、更新しているんだろうか。
絶対、そんなことは考えられないので、カマをかけてみました。

「自動更新をしたい場合、どうするんですか」

これも聞き方ひとつで、「自動更新って、できるんですか」みたいな質問をしていたら、ダメと言われていたかもしれません。
しかし、結果的に、逃げ道が用意されていました。
危ない、危ない。

このキャラは3匹いて、それぞれにモチーフがある模様。
じゃあ、それにちなんだ観光案内を仕立てましょう。
○○○○犬が案内するロケ地紹介・・・みたいな感じで。
映画とちっとも関係なくなっちゃったけど、それはそれで、しょうがないよね。
編プロもOKだって言うし。
それにしても、どうやって無理筋をクリアするのかが見たくて、依頼されているんじゃなかろうか。
こうなると、企画屋や手配師ですね、やっていることが。
今回は、かなりボタモチでした。

[2439] アノ観光課・続編

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

某県庁の観光課が、観光コンテンツの問い合わせ先として記載されることを拒否してきた件。
加えて、観光サイトを運営する委託先からも、「責任が持てない」と断られる顛末。
確か、[ 前々回 ]でしたっけ。
そんなご報告をしました。

しかし、黙って指をくわえているわけにはいきません。
自分はピンのフリーランス。誰にも頼れず、自力で解決することが求められます。

そこで、県庁所在地のある市町単位の観光課に泣きついてみようと考えました。
今回のコンテンツの中には他市の観光情報も含まれているので、フツーに考えれば、断られて当然。
レベルの高い、寝技が求められます。
その結果・・・、
後者の委託先からOKをもらうことができました。
イエーイ。

企画概要書の泣き落とし部分
企画書で「泣きつき」ました

O2市観光課の電話対応が好印象だったので、「いけるかな」という実感はあったんです。
実際、O2市から県の上役に直談判してくれたようです。
また、最悪ダメでも、ウチで引き受けますよと。
泣きついたかいがあったというものです。
電話でピンチ感を訴え、しかも甘えたトーンで頼る。
寝技でしたな、まさに。

さて、やりとりを見ていると、観光課の上の「局扱い」にしてもらったんですね。
そこで了承され、観光サイトを運営する委託先に指示が落ちた模様。
確認の電話をしたら、
「あぁ、その件ならOKですよ」
の一言。ゲラを出す必要もありませんでした。
あっさりしたもんです。

O2市に感謝、O2市大好き。
役所のツボを心得た名さばき。O2市すげーよ。

県に断られた場合・・・って、そもそも、そんなことは起こらないんですが・・・有力な市町単位に泣きつく。
これって、汎用性のある方法なんですかね。
例えば東京都がダメだったら、新宿区に相談するんでしょうか。
新宿区が、檜原村のキャンプ場の対応をしてくれるんでしょうか。
そう考えると、いまさらながら無理がありましたな。
「最悪ダメでも、ウチで引き受けますよ」と言ってくれたO2市、改めてすげーよ。
何かをなすのは最終的に人だな・・・と痛感しました。

[2438] 文章の長さでリズムを付ける、動画のナレーション

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

「こういう仕事って、頼めますか?」
と渡されたのが、一枚のDVD。
内容としては観光案内で、名所や見どころスポットにナレーションを付けていくらしい。
ロケ隊の撮影はすでに行われていて、そのときの資料や自分で調べた情報、あるいは観光協会などの協力を得ながら、テキストを考えていくようです。
ここまでなら、別段、なんということはない作業。

ところが・・・。
ナレーションのトーンがスゴイんですよ。
タレントに読ませるらしく、完全に「詩」の域です。

風が吹く。
花がそよぐ。
日常を忘れるような一本の小道。
作家、芥川龍之介も好んだという散歩道が、ここ、○○市の■■。
道端には猫。
茶店でいただく和菓子。
・・・・も、ずっと、この調子。

花の散歩径イメージ
DVDのイメージに比較的近い手持ち画像より

つまり、「説明」しないんですな。
画があるから、解説は不要。
その代わり、全編、描写のタッチで進む。
時制は基本的に現在形。
名詞を小刻みに置いていく作風も独特です。「です・ます」とか「だ・である」なんて、どこ吹く風。
あと、リズムを大切にしていますよね。
思いつきで作った上記の例文を見て、文章の長さが三角形になっていると、いま気付きました。
最初は短い文で始まり、徐々に、その長さを伸ばしていく。
ある程度の長さになったら、それを維持しないで、再び短文に戻す。
そうすると、一定のリズムが作れるんです。いま気付きました。

もはや文じゃなくて、音なんですね。
画が絡むと、文章の役割まで異なってくる。
これは、ある意味、おもしろい仕事だ。
ほかにも、書いているうちに、いろいろな発見があるんでしょう。
ぜひ、やらせてくださいよ。
なるほどね、音で文を作るのか。しかも解説じゃなくて描写だと・・・かどうかは知りませんけど、たぶん求められているのは、そういう作業なんでしょう。

どうでもいいけど、タレントに会わせてくれないかな。
「収録に同行して、その場で修正してもいいですよ。勉強させてください」
か何か言っちゃって。
まてよ、全然知らない、声優さんって可能性もあるじゃんね。
というか、その人が有名なのかどうかもわからない。なにせ、小山茉美や古谷徹の世代なもんで。
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Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

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