[2302] 小学校1年に習った「出る」は、もう、使わないのか

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

読売新聞はときどき、「出る」を「でる」にしてくるんですね。
自分は、「ください」や「いただきます」のような副詞的使用の問題だと思っていました。
オバケが出るとか、出るくいは打たれるとか、そういう本来の動作は「出る」。
傾きだしたとか、ウグイスが鳴きだしたとか、主たる動きじゃないときは「でる」。
ところが、そういう話でもないらしい。
1日の朝刊では、「映し出した」になっていましたからね。
頼りの記者ハンも、両方の変格候補を「出して」きます。

確かに、申し出た、進み出た、飛び出したあたりのステップ系は、「出る」のような気もするんです。
一方、雷が鳴りだした、徐々に走りだす、食べだすといったスタート系は、「出る」である必要がない。考えてみれば、「食べ出す」って、わけわかんないじゃないですか。

2302.jpg
こういうのは、めんどくさいから「デター」でいい

持ち出す・・・inとout、出し入れでいえば「出る」かな。
セーターを着だす・・・「着出す」だと、チャクシュツと読みかねない、それにスタート系。
炊きだし・炊きだす・・・この場合の「出す」って何だろう。
このように、「迷いだす」ことがあるわけですよ・・・強引に使ってますけど。

妥協点として、スタート系のみ「だす」にしておくのもアリです。
これだと、「張り出した」と「張りだした」が、使い分けられます。まあ、誤解を避けるために、「張り始めた」とかにすべきなんでしょうけど。

ああ、変換がメンドイ。

[2301] あなたが知りたい、あなたを知りたい

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

別に「あなた」じゃなくても良かったんですけどね。
適当なコトバが思いつかなかったもので。
本題は、くどいようですけど、助詞のカブリについてです。

主格の「が」と目的格の「を」は、場合によって互換できるんです。
本当の目的「が」知りたい
本当の目的「を」知りたい
ただ、実際の場面では、前後のカブリだけで使い分けていました。

その手紙に書かれていたの「が」、本当の目的「を」知りたいという想いだった
黙っていれば済むもの「を」、本当の目的「が」知りたいと言ってしまった

これがライターの仕事だろうと。
でも、実際のところ、不思議で不思議でしょうがなかったんです。
なんで主格と目的格の助詞「が」入れ替えられるんだ。
なんで主格と目的格の助詞「を」入れ替えられるんだ。

2301.jpg
お堀が眺められる、お堀を眺められる

そこで辞書を調べてみたらですね、なんと、「が」にも対象を表す使い方があるとのこと。
てっきり、主格明示一本だと思っていました。
そうなると、

その手紙に書かれていたの「が」、本当の目的「が」知りたいという想いだった

でも合っていることになります。
もちろん、商業文では使いませんよ。金もらっているんですから、シロートみたいな作文は戒めるべき。
ただ、どうしても避けられない事態というのがあって、ソイツにつかまると、長時間苦しめられるわけです。
しょうがないので、前半をやたら短い文で区切ったりして対応していました。

これから、どうしようかな。
不自然さを感じない限り、あえて「がが文」「はが文」も取り入れてみようかな。
まっ、でも、荒削りさというかみっともなさは残りますよね。

その砂には、「あなたのことが知りたい」と書かれていた・・・「はが文」。
その目が、「あなたのことが知りたい」と言っていた・・・「がが文」。

「は」は繰り返し書いているとおり「条件付け」ですからね。一概に「はが文」をダメとは言えません。
自分も、最近になって容認し始めています。
一方、「がが文」はアレルギーあるな、やっぱり。

[2300]「等」の不思議な使い方、「設置等した」

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

「等」と「など」の件。
本論へ進む前に、まずは、記者ハンの大原則から。
漢字の「等」は使わず、基本的に「など」とひらきますよと。
ただし、法律などの名称に「トウ」のヨミで使われている場合は、固有名詞扱いになります。
最近では、「テロ等準備罪」なんかで、良く耳にするところです。
また、この場合、「など」とは読みません。「てろとうじゅんびざい」が正解。

だからといって、「ミカン等(トウ)がお得ですよ」にしてはダメ。
当たり前ですけど、「ミカンなどがお得」が正解。

さはさりながら、先日、某報道が「設置等した」という表記をしていたんですね。
ヨミも「などした」でした。

普通ですよ、「設置など『を』した」って言いませんか。
つまり、「設置した」をアバウトにボカしたい場合、「等」を力業でぶっ込む使い方があるんだと。
レストランで、楽しい会話と食事などをした・・・これが普通。
レストランで、楽しい会話と食事等した・・・やっぱり、おかしいだろって。

樹木の虫食い跡
虫食い等した、樹木の表面

もともと「など」にはいいかげんなところがあって、対象物をボカしても、行為をボカしても、意味は一緒なんですね。
証拠「など」をそろえる準備が必要です。
証拠をそろえる「など」の準備が必要です。

それでいくと設置等の使い方は、対象物をボカしていることになる。
本来、設置+「する」であるところを、設置等+「する」。
設置以外のさまざまな付属行為を丸っとインクルードして+それを「する」で動詞化している。
何か、こう、ふに落ちないわけです。
ちらかったオモチャを箱へ一緒くたにまとめて、「ハイ、整理できました」・・・みたいな。

でもまあ、そのうち、業界の自主規制がかかってくると思います。
だって、どう考えたっておかしいもの。

店内には、飲食物の持ち込み等しないでください。
→店内に、飲食物などの持ち込みはしないでください。
商品を試着等する場合は、店員にお声がけください。
→商品の試着などをご希望される場合は、店員にお声がけください。

だからね、バカなんだよ、きっと。
伝わり方よりも、「こんな難しい使い方等知ってるぞ」っていう自慢を優先している。
そもそも、原則として「等」は使わないんでしょ。
業界の自主規制なんだから、守れって。

[1399]「は」と「が」のダブり、最終考

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

原則として、一つの文は一つの主語しか持たない。
したがって、主格を示す「は」や「が」も一つであるべき。
ところが現実として、このような「ダメ文」を、しばしば見かけます。

このページ「は」、モバイル端末で「は」使いにくい可能性「が」あります

客車に該当する述語は「あります」だけで、機関車の三両連結になっている。
補うとすれば、

このページ「は」不適切です。モバイル端末で見た場合使いにくい可能性「が」あります

が正しい。
もしくは、以前紹介した得意技、「目的格への変更」を使って

このページ「は」、モバイル端末で見た場合、使いにくい可能性「を」含んでいます

と直すべき。
ところが、「芸能人は、歯が命」って、極めて自然ですよね。
これは、なぜなんでしょう。

1399.jpg
「はが」かみ合わない

自分はいままで、やみくもに「はが」のカブリを避けてきました。
しかし、「芸能人は、歯が命」をダメとする理由が思いつかないんです。

実はこの問題。自分で答を出していました。
それは、「は」の「条件付け」という使い方です。
以前、東京「は」浅草の生まれ・・・という表現を紹介しましたよね。
この場合、「東京さんが浅草で生まれた」という意味ではありません。
東京に「浅草」というフラグを立てて、条件付けたわけです。

「芸能人は、歯が命」も、実は、この条件付けと考えられます。
芸能人の条件といえば、「歯が命」だよねと。
魚は、水がないと生きられない・・・魚の条件として「水がないと生きられない」。
カバは、口が大きい・・・カバの特徴として「口が大きい」。
どうやら、そういうことではないかと。

もちろん「がが文」はNGです。逆接の「が」を含む場合でも、「ものの」で代替して、カブリを避けたい。
職人「が」作ったのだ「が」、受け取ってもらえなかった・・・職人「が」作ったものの、受け取ってもらえなかった
一方の「はが文」は、条件付けならイキ。

我が身への災難「は」、他人「が」もたらす・・・NG。他人によってもたらされる。
我が身への災難「は」、他人「が」もたらすものだ・・・OK。災難の条件付け。
難しいですけどね。

[1398] 書籍とWebの文は、やっぱり違う(書籍編)

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

G.W.を過ぎてからというもの、紙の仕事がひきもきらない、今日この頃です。
以前、Webの書き方は独特・・・という話をしたことがありました。
ブラウザには戻るボタンがあるため、ツカミで勝負、結論を先出しするんだと。
また、関心を維持するため、「さらにズゴイのは」とか「注意したいのは」といった吸引ワードを多用することになります。

一方の紙。
こうしてみると、落ち着いて物事を論じられますな。
あせらなくていい。慌てる必要がない。
吸引ワードなんて、無かったら無かったで困らないんですよ、こんなもん。
紙で見ると、むしろ、せっついているように読めてしまいます。
本を手に取った読者は逃げないので、イイタイコトをじっくり、かみしめながら書ける。

紙面レイアウト
レイアウトが前提になるのも、紙のおもしろさ

一方、制限を受けるのが、レイアウトの問題。
紙はレスポンシブデザインじゃありませんから、テキストの量やスペースが厳密に決まっているわけです。
また、テキストの折り返しも、気を使うところ。
新聞だと・・・確かめずに続けますが・・・15文字じゃなかったかな。
なので、16文字目に「、。」が付くと、行の冒頭に回ってしまうのです。
このことによって、使いたかったコトバを変えなきゃいけないときがあります。
あるいは、意味のない「、」を途中で挟んじゃうか。

ところが、「行の終わりは、半分より下で」という、暗黙の了解的な慣行もあるんです。
1・2文字で終わらせると、下にムダな空白が生まれてしまい、紙面がもったいないと。
なので、ワードに書きなぐりではなく、テキスト挿入で「折り返し」を意図的に発生させつつ、推敲しています。

紙にはこうした「折り返し制限」があるため、「大きなところを先に固めちゃう」という進め方をしますね。
だって、文字数を整えたところで、中身そのものが変わっちゃったら、意味を持ちませんから。
ここも、Webとの違いかな。
初稿に誤字があっても、比較的スルー。
大枠が固まってから、最後に細かなところを見て、「折り返し制限」をクリアする。
好みでしょうけど、紙のほうが、ある意味「やりやすいのかな」と思っています。

[1397] わかっている人の書く、わからない文

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

今回は、専門用語が語弊をもたらすケースの一例です。

半年くらい前でしょうか。
相続に関する最高裁判決で、「預貯金は遺産に含まれる」という見だしが各紙面を飾りました。
これ、
「何を言ってるんだ、当たり前じゃないか」
なんて、思いませんでした?

一般人が考える「遺産」とは、故人が持っていた財産のこと。
その中には預貯金も含まれるわけで、だから疑問を感じてしまうのです。
ところが法律的な遺産とは、話し合い、つまり「遺産分割協議を経て取り分が決まる財産」のこと。
預貯金はいままで、法定相続分通りに分けられるのが一般的で、ある種、相続人の個人財産のように思われていたんですね。

お金は大切だから、もめないで、まず、分割しちゃおうよ。
細かな調整は、現金以外の遺産で図っていこうじゃないかと。

この流れを改め、「最初からお金も含めて話し合いなさい」としたのが、「預貯金は遺産に含まれる」の真意なんです。

棚からボタ餅
預貯金的な茶濁がなかったもので、「棚からぼた餅」

つまり、その筋だけで通る「正確さ」を通そうとすると、かえって誤解を招くことになる。
例外として、一般に知られたくないための符丁は、アリだと思うんですよね。
そうではなく、周知を前提とした場合、専門用語は避けるベキなんです。

さて、このたび成立した改正民法。
未払い金の時効について、新たに「権利を行使できると知ったときから5年」とされましたが、その意味、わかりますか?
単純に、未払い金発生時から5年じゃないんです。
また、うっかり売り掛けがあることを忘れていた場合でもない。それは単なる自分のミスですから。

「知ったときから5年」。これは、例えば債権者が孤独死なんかをして、知らずに権利が相続されていた場合などですね。
知りようがなかったんだから、しょうがねぇじゃねえかと。そういうシチュエーションに限り、時効をカウントするスタート時点がずらせる。
決して、「タンスを探したら、ずっと前に取り交わした書面が出てきた。じゃあ、いまから5年」ではないわけです。
そういう意味の「知った」とは異なります。
修正するとしたら、「棚から落ちたぼた餅をはじめて見たときから5年」ってな感じでしょうか。
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Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

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