[2350] 言う、語る、述べる、あるいは見解を示す

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

今回は、閉じカッコの後に使う said that 系の整理です。
まずは「言う」。
制限や決まりなんて、ないんじゃないでしょうか。
ただし、セリフではなくて、「とするのが相当である」という意味の「いう」は、ひらがなです。

一般に「36度が平熱」といわれています
ドクターは「36度が平熱」と言った

次は「語る」。
言うより、主義・主張が熱い感じ。
強調したいときなんかに重宝。
理屈や理念っぽい内容に使うのかな。
また、書き手がちょっと距離を置きたいときにも有効です。こんなコト言ってっゾみたいな、突き放し感が出ます。

「ラーメンは食事じゃない」とシェフは語る
「ぴーまんは食べ物じゃないのよ」と、その子はへりくつを言った

国会議事堂
「述べる」の代表的シンボル

「述べる」は公式な発言で使うワーディングなんでしょう。
つまり、フツーのインタビュー記事では使わないということです。
政治系の報道記事などに限定されてくるんじゃないですかね。

議員は国会の中で「ハトは平和のシンボルだ」と述べた
焼き鳥店の中にも「ハトは平和のシンボルだ」と言う声が多い

じゃあ、平たい場面では「言う」か「語る」しか使えないかというと、そんなことはありません。
見解を示す、主張した、とは店長の談、公言した、などなど、新聞を見れば無数のバリエーションが拾えます。
いくつかストックしておくと、ダブリが回避できて便利です。

「やりたいコトをやれ」が、田中流の考え方
佐藤は「やりたいコトをやれ」と強調する

まっ、ストックするほどでもないですが・・・。
一応、「said じゃなくてもセリフは表現できる」ということを覚えておきましょう。
文章の流れによっては、「・・・」だけで、そのまま放置しておくのも方法です。

「クリームの固さを砂糖で調整するんです」。高橋の創るケーキはデザインが光る。
渡辺によると、技工士がいるだけで、かなり違うのだとか。「やはり、お客さんの反応がダイレクトに伝わりますからね」。

そう考えると、気をつけるべきは「述べる」かな。
むしろ、誤用を防ぐ意味で、封印しておく手もあります。
普段は使わないようにしておいて、「ちょっと待てよ、ここは『述べる』でもいいんじゃないか」と気付いたら、試みに述べてみる。
繰り返しになりますけど、シーンとしては公式な発言です。要注意。

[2349] 名詞と動詞が結び付けられる「ともに」

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

「インスタの流行や欧米の考え方が浸透してきている・・・」

そんな原稿を書いていて、マズイことに気付きました。
これだと、(「インスタの流行」+「欧米の考え方」)→浸透してきている
って意味になりかねないんですね。
書きたかったコトは、そうじゃありません。
「インスタの流行」+「欧米の考え方が浸透してきている」
という併置なんです。

さて、直しはいろいろあるものの、どうしましょうか。
そこで、自然に出たワーディングが、
「インスタの流行とともに欧米の考え方が浸透してきている・・・」
でした。
自分ながら、あっぱれ。
この「ともに」というヤツは、名詞と動詞という異物を、上手に接着できるんです。
どういうことなのか、少し、説明します。

遺跡の調査現場
発掘とともに文字を調べる作業が進められている

「や」や「と」で挟まれる前後の単語は、名詞になっている必要があります。
もう少し正確にいうと、名詞を選んで接着する・・・というのかな。
「発掘や文字を調べる」とした場合、発掘も調べるし、文字も調べてしまいます。
なので、単語と文、文と文の接着には向いていないわけです。
無理にやってみましょうか。

遺跡を掘り出すと文字を調べる作業が進められている

前半がヘンテコですよね。
なので、名詞化という作業が欠かせません。

遺跡を掘り出すフィールドワークと文字を調べる作業が進められている

ところが「ともに」は、全くのノールールで使えるんです。
強力なツールですね、ぜひ、覚えておきましょう。

発掘とともに文字を調べる作業が進められている
遺跡を掘り出すとともに文字を調べる作業が進められている
遺跡を掘り出すフィールドワークとともに文字を調べる作業が進められている

すごくないですか。
「や」や「と」にはない、異次元接着技術。
並列のデフォにしたいくらいです。

朝と夜に服用してください。
朝とともに夜にも服用してください・・・やっぱ、変か。
とにかく、「や」や「と」のかかり方でおかしなことになりかけたら、「ともに」で防ぐ。

十分な睡眠と栄養のあるものを食べましょう・・・睡眠は食べません。
十分な睡眠とともに栄養のあるものを食べましょう。
いやいや、使えるは、コレ。

[2348] 垣間見、散見、うかがい知れる

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

あからさまではなく、少し余韻を残した記述表現に、
「垣間見える」
「散見される」
「うかがい知れる」
なんてコトバがあります。
個人的に大好き。
とくに使い分けもせず、その場の雰囲気で決めていますが、この機に定義付けちゃいましょうか。

まず、「垣間見える」。
垣根の隙間から、ちらほらブツが見えているという意味です。
「推察される」よりもダイレクトだけど、かといって、全てがクッキリ見えているわけではない。
一部の様子から全体が把握できる・・・あるいは、いくつかの隙間を通して、その先にある景色が同じであるとわかる・・・という状況で使うべきなんでしょう。
よって、垣間見えている「複数のファクト」が必要。ここ、大切です。
完全な想像のシーンや、1点モノの現象では使えません。
「接客姿勢や商品の整然とした陳列に、店主の几帳面さが垣間見える」

舟屋の垣根
垣間見える的な茶濁でございます

次は「散見される」。
「垣間見える」は対象物が一つでした。結局は、そこへ集約されていくイメージ。
対する「散見される」の場合、事象としては、あくまで分散なんですね。
「接客姿勢や商品の整然とした陳列に、店主の几帳面さが散見される」
だと、集約しきれず、オチが分散してしまいます。
「店主の几帳面さは、接客姿勢や商品の整然とした陳列などに散見される」
こういう場合は、分散でいいわけです。
単一のテーマを記述したいときは「垣間見える」。
テーマは一緒だけど、複数の事柄のほうについて触れたいときは「散見される」。
いまさらですけど、因果だったんですね、この両者は。

最後は「うかがい知れる」。
想像も含んだ包括的な言い方。いつでも使えるファイナルウエポン。
ただし、浦安に住んでいるというその事実だけから、ディズニーランド好きがうかがい知れる・・・なんてことはあり得ない。
年間パスポートも持っていて、有休を取っては通い詰めていて、スタッフにも顔パス・・・あたりになってくるとうかがい知れる。
いや、明らかすぎるな。
もうちょっと、結びつきが薄いんですかね。
わざわざ「ディズニーランド好き」と書かなくても明示できてしまう場合は、使えないようです。
「他店のチラシを必ずチェックするというその姿勢に、適正価格へのこだわりがうかがい知れる」
直結じゃないから、多少の誘導もあり。ただし、やり過ぎるとコジツケ。
そんな感じでしょうか。

[2347] リライトは、飲み込んだ後に自分のコトバで書いたほうが早い

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

例の頭絡みで、大量の二次コンテンツを作らされてます。
基本は、リライトです。

AGAの要旨としては、
1.発毛のヘアサイクルが短くなるから、薄毛・脱毛を生じさせる
2.ヘアサイクルを乱すのは、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンの一種
3.ジヒドロテストステロンとは、男性ホルモンが5αリダクターゼの働きで変容したものである

でだ。リライトの一般的な進め方って、とりあえずコピペしておいてから、元文の気配を消しにかかるんでしょうよ。相場としては。
ただ、この方法だと、どうしても元のワーディングに引っ張られます。
どうやったって似てくるし、代替語を考えなきゃいけないし、逆に時間がかかるのではないでしょうか。
なので、コピペせず、要旨を飲み込んだうえで、自分のコトバとして書いていく方法をお勧めします。
ソッチのほうが、絶対早い。

名護市役所のシーサー
悪の道に染まったシーサーという茶濁でございます

自分は、イメージとして、こんな展開を考えてみました。
もともと好青年だった「男性ホルモン」。
彼を悪の道に誘ったのが5αリダクターゼ。
いまや、ジヒドロテストステロンと名乗り、街の毛髪工場を支配しようとしている。
もちろん、そう書いたわけじゃないですけど、「悪の道に誘った」あたりは使っています。
要は、飲み込んで自分流に解釈しちゃえば、スラスラ書けるんです。
なまじ、元文をベースにしようとするから、時間がかかる。

男性ホルモンが5αリダクターゼの働きで変容・・・これをリライトしようったって、「働き」か「変容」くらいしか、変えるところがないじゃないですか。
自分で言うのもナニですが、「男性ホルモンを悪の道に誘ったのが5αリダクターゼ」って、ほとんどオリジナルでしょ。
そういう発想が出せるんですよ、飲み込んじゃうと。
というか、飲み込んで出す練習を積んだほうが、後々スムーズ。
ロジックも自由ですしね。

上記のイメージは、どちらかというと帰納法。AGAの結論が最後になっています。
これを演繹法してみましょう。
街の毛髪工場を支配しようとしている、悪の化身、ジヒドロテストステロン。
彼を洗脳したのは、5αリダクターゼという宗教団体の勧誘員だった。
ジヒドロテストステロンは、かつて、どこにでもいる「男性ホルモン」だったのだ。
このロジックでも、いいわけです。

こういう工夫で、発注元から絶対的な信頼を寄せられれば、リライトなのに「2時間半で1万円」稼ぐことも可能。
だって、もはや、リライトじゃないですから。
悪の結社を描いた、オリジナルストーリーの完成です。

[2346] 信用が得られやすい、信用を得やすい

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

標題のような、「が」と「を」の件。
助詞のカブリを回避するため、「が」と「を」取り換えることがあります。
このテクニックは、自分の中で定番ともいえる基本メニューです。

ニセモノ「が」多いこと「が」わかった→ニセモノ「が」多いこと「を」知らされた

このような場面では、主客の変化、つまり能動と受動を反転する必要があります。
ところが・・・。
「信用が得やすい」「信用を得やすい」などは、あまり意識していなかったんですね。
カブリの状況に応じて、単純に「が」と「を」を入れ替えていました。
よく考えてみれば、「信用が得られやすい」「信用を得やすい」が正解なんでしょう。
やべ・・・ミスを量産してたな、いままで。

大ぶりの串ダンゴ
腹持ちがしそう、腹持ちをさせてくれそう

また、コトバがもともと持つ属性というか、相性みたいなものもありまして。
あくまで、インスタ映え「が」しそうであり、注目「を」集めそうなんですね。
入れ替えを行うときは、この属性から考えていかなきゃいけない。
インスタ映え「を」期待できそうで、注目「が」集まりそう。
この辺は基本というか、まず、間違えない。

じゃあ、「笑顔+取り戻せる」なんてどうでしょう。
笑顔「が」取り戻せる環境。
笑顔「を」取り戻せる環境。

・・・答。この場合の「せる」は「可能」なので、主客とは関係ありません。
どちらでも正解、ひっかけ問題でした。
こういうケースがあったりするので、非常にややこいんです。
望む結果「が」得られない。
望む結果「を」得られない。
これなんかも同様です。

では第二問。
痛み「を」軽減するテクニック。
コイツを「が」に変えてみてください。
痛み「が」軽減するテクニックでしょうか。
痛み「が」軽減されるテクニックでしょうか。
・・・悩みますよね。前後のニュアンスでも違ってくるのでしょう。

そこで、さっき取り上げた「笑顔+取り戻せる」のアレンジ技を考案してみました。
つまり、可能であれば、どちらでもいいんだと。そういうことでしたよね。
痛み「が」軽減できるテクニック。
痛み「を」軽減できるテクニック。
どちらでも正解。やった、もう迷わないで済む。

冒頭の「得られやすい」も、見方によっては可能ですから、「られ」にしておくほうが無難。
「信用が得られやすい」「信用を得られやすい」
どちらも正解。

やった。このテクニック、使えるなぁ。
可能にしてごまかす。
文章に携わっていない方にはピンと来ないかもしれませんが、大発見です。

[2345] 新聞の事例研究-その5-動きはじめる、動き始める

~正解なんてない!日本語の選び方【文章作成のコツ】~

動詞の複合語とでもいうんでしょうかね。
例えば、「動き」と「始める」を組み合わせた「うごきはじめる」。
誌面は、このような場合、後半の漢字をひらくことが多いようです。

ほかにも、可能性としては
「飛びだす(飛び出す)」
「言いつづける(言い続ける)」
「持ちこむ(持ち込む)」
などが考えられます。
ちなみに記者ハンは、両方の変換候補を示し、どちらでもいいというスタンスみたいです。

抱きとめられるの例
某日の「朝日新聞」一面から

本旨から、少し外れます。
まず、青線の「やまない」。
漢字としては「止まない・已まない」なんでしょうが、「止まる」との誤解・誤用を防ぐため、読みを重視してひらいたケースです。たぶん。
いままでにも、似た例をご紹介してきましたね。

一方の赤線。
同様の読み重視策と解釈してもいいんですが、冒頭の複合語の問題もあるんです。
良い偶然があったので、サンプリングしてみました。
これはこれで、そうあるべきなんでしょう。
「飛びだす」も「持ちこむ」も同。
それでいて、個人的に、「言いつづける」は「言い続ける」だと思ってます。
その理由は、続けるというニュアンスが濃いから。
動作の主体がドッチなのかという配分で、「ひらくのかとじるのかが決まる」という考え方です。

しかし、前後の文脈によってワーディングが変わりかねないってことですよね。
できるだけ統一するよう、心がけます。
難しいな、これは。

余談ですが・・・。
赤線の少し前にある「だがいま」。
読みが複数ある時制は平仮名が原則。
明後日ではなくあさって、今日ではなくてきょう。
これも、読み重視策のひとつです。
そして読点は、接続詞の後ではなく、時制の後に打つ。
この二つのルールから、「それでも現在、」「そのうえで4日、」みたいな語句が成立するわけです。

さはさりながら、「だがいま」って・・・。
句点を省略したことは見逃すとしても、コトバとしてどうなんでしょう。

この「いま・今」はですね、いつも悩みます。
いまだ、自分の中で定着していません。メディアによって違っています、おそらく。
もちろん、同じ記事の中では統一していますが。
自分だったら、「だが今、日本は米国の・・・」かな、やっぱり。
それでいて、「いま日付が変わった」とか打っていそうですけどね。「今日付(きょうづけ)が変わった」に受け取られますから。
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Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

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