[1489]神奈川県内を走る電鉄6社の取材ハードル

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

むちゃブリ、史実への対応力、広報の度胸、マニアックな内容・・・。
電鉄への取材、その観点はいろいろあると思いますが、とりあえずザックリ「ひっくるめ」で考えたときの取材実現性について、個人的な感想を述べてみます。

一番相談しやすいのは、前にもどこかで書いたと思いますが、ダントツで相鉄さんです。
「県外への認知度が、まだまだ低い」という課題を抱えているため、大抵の話に乗っていただけます。
自らオモシロイ企画もやっていますしね。
とにかく「話題になろう」という気概が、良い意味でうかがえます。

江ノ電は、対応がキッパリ二分化する会社です。
沿線ネタや最新事情など、新しい話題に関してはOK。
一方、歴史的な考証になってくると難しい。
なぜなら、かつての火事で、社史のほとんどを失っているからです。
「図書館で調べられる以上のことはわからない」
という、お決まりのパターンで終わることが多いですね。

1489.jpg
市電のことは市電博物館、これは6社から除きます

一番微妙なのは東急。
歴史も古いし「いい場所」を走っているので、各地に郷土研究家がいらっしゃる。
話題によっては、電鉄より専門家に聞いたほうが早い。
本社への通し方というより、地場のコネが問われるところです。

小田急は、不思議なことに、「話題がない」んです。
あれは、なぜなんでしょうね。
イベントとか、そういうのは除きますよ。
何ていうか、動きがないというか、沿線が安定しちゃっているんですかね。

東急。
電鉄はフツーの対応ですけど、ヒエラルキーの下に位置する方々が愉快。
デパートとかエージェンシー、不動産関連などですね。
人材の厚みを感じます。
だから、電鉄本社を突破できると、後は楽。取材もおもしろいです。

最後は、言わずもがなのJR。
ハナから諦めて、ほかの突破口を探したほうが早いんじゃないですかね。
鉄道周りのNPOとか関連団体とか。
反応を待っていると、年が明けます。

[1488]アクションを起こさせる「魔法のコトバ」

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

現在、仕事の7割は医療と士業。
なかでも特に多いのが、歯医者さんと弁護士になります。
意外なことにこの両者、「問題が大きくなる前に相談」という意味では、共通した部分があるんですね。
歯医者は「痛くなる前に治療」だし、弁護士は「もめる前に対策」。
しかし実態としては、手遅れになってから行くことが多いようです。

この傾向は、いくらホームページなどで訴えても変わらない。
そこで、発想の切り替えをうながす「魔法のコトバ」というのを、探し続けているワケです。
そのようななか、歯医者でピンと来たのは、以下のようなロジックでした。

人は、他人から見られると、オシャレになる。
世間から隔絶されると、どんどんズボラになっていく。
だから、意識して、歯を他人に見せるようにしなさい。
定期検診は、オシャレ心を育てるために行うのです。
歯医者へ定期的に来るだけで、歯は健康になりますよ。

初めて聞いたとき、「なるほどねー」と感心しました。

1488.jpg
一方の弁護士は、ケツが関係してきます

では弁護士。
感心したロジックには出会っているんですが、とても書けない内容でした。
ここは私分なので、遠慮なくご紹介します。

オマエらのケツを弁護士が拭くなんて、正直、勘弁してほしい。
なんで、そんなことで汗をかかなきゃいけないんだ。
やったことの後始末じゃなくて、これからの予定を相談してくれりゃあいいじゃないか。
そのほうが、いろいろためになるアドバイスができるのに。
何も起きていない「いま」が、ベストタイミングなんだ。

ね、おっしゃることはごもっとも。
汚れ仕事より夢のある計画を練るほうが、誰だっておもしろいんです。
依頼者にしたって、攻略本を見ながらゲームするようなものなので、リスクや失敗が少ない。
だけど、現実としては、お漏らししてから他人にケツを拭いてもらう。
まあ、ストンと納得できるストーリーですけど、サイトコンテンツにはできません。

[1487]マスコミ向けの発表会は、淡々と進む

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

テーマパークや映画などの封切り前に、マスコミを呼んでリリースを行うことがあります。
電車の新型車両や、規模が大きいマンションなどでも行われますね。
現場では、基本的に「良いことを書いてほしい」ので、必ずといっていいほどお土産が付きます。
要は、ワイロです。
それはそれとして。

基本的な流れは、まず主催者側からのレセプションがあって、その後に質問を受け付ける形。
事件性のある記者会見などとは違って、各メディアの代表者を立てるようなことはしません。
誰でも自由に質問できます。

ただ、実際は、おざなりというか、かなり形式的に進んでいきます。
大きな理由は、自分が考える範囲で、主に2点。
一つは、文字尺の問題。
よっぽどのことがない限りそんなにスペースを割いていませんから、基本情報で事足りる。
社長の長演説も、一言二言で片付けられてしまいます。

1487.jpg
正式発表前のリハーサルの様子

もう一つは、「良い質問をしてしまうと、他のメディアにパクられる」から。
自分は駆け出しのころ、勇んでいろいろな質問をしていました。
ほかの記者たちが黙り込んでいるのを見て、「どうだ、オマエらにはできないだろう」と、うぬぼれていたんですね。
そして翌日、各社の報道に目を通すと、見事に使われているわけです。

そうなるとですね、不思議なことに、コッチがパクったと受け取られかねない。
著名な媒体に載っていることがオリジナルで、引用しているのは三流メディアのほうだと。
そういう心理が働くんでしょうね。
違うんだよ。この質問、オレがしたんだよ。

こうした事態を避けるためか、一流の記者たちは、会見が終わった後に、個別で担当者へ張り付きます。
周りが聞いている席上では、絶対にコアな質問をしない。
後々気付いたとき、「なるほどねー」と関心しました。
なので、公開質問の場で手を挙げるのはシロートさん。
人からは盗むけど、自分の腹を絶対に明かさない。そうして特ダネを打つのが、本当のプロなんです。

[1486]「動画」は、あればいいってものでもない

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

最近、取材時に動画を撮る場面が散見されてきました。
視認性に優れるというか、視聴回数はそれなりにあるみたいです。
こうした場合、ライターがタッチするのは、テロップやカンペの部分。
事前に用意することもあれば、ヒアリングの後に趣旨をまとめることもあります。

だけど、本当に動画が向いている人って、10人に2人ぐらいじゃないでしょうか。
講演のように人前でしゃべる経験が豊富な人じゃないと、子どもの発表会みたいなことになる。
カンペをガン見するし、滑舌悪いし、笑顔が怖いし。
それに、解像度の低い画で作るでしょ。
どうしても「質の悪さ」みたいなイメージが付いちゃうんですよね。

1486.jpg
強い照明がたけないから、ホワイトバランスもまちまち

このライティングでそのまま撮ると、おそらく、顔が「真っ赤」になります。
かといってブルーに振ると、窓の外や奥にあるテーブルの表面が「真っ青」になる。
スチールなら、瞬間的に強いフラッシュで飛ばせますから、色温度を一定に保てます。
動画は、それができないんですよ。
もしくは、本格的な照明を持ち込まないと。

シャベリがダメ、ライティングも悪い、顔が怖い。
・・・撮る意味あるんだろうか。
それと、カンペ無視して独自の演説が始まった場合、しゃべった言葉がそのまま載りますからね。
「お客さんの要望をそのままヤル」とか、「来てもらうと手っ取り早い」とか。
ライターをかませたテキストなら、
お客さまのご要望をストレートに反映する
ご来所いただいたほうが時間を節約できる
に直せるでしょ。
放任しておくと、地が出るんですね、どうしても。

どうなんでしょ。確かに再生回数は多いのかもしれないけど、アクションに結び付いているんだろうか。
端から見ていると、はなはだ疑問です。

[1485]リンゴが赤いのは皮の部分だけ

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

言葉として目に見えている部分と、そのメッセージの基となる概念は、得てして違うんじゃないだろうか。
コピーライティングをしていて、最近、そう思うようになってきました。

例えば、「おいしい笑顔が見たくて」というキャッチがあったとしますよね。
この場合、本当に店主は、人の笑顔を見たがっているんでしょうか。
「このレストラン、料理うめぇな」
という実感を持ってほしいだけじゃないでしょうか。
それをキレイな言葉で飾ると、「おいしい笑顔」になっちゃうんです。

これは、ヒアリングしていても感じるところで、
「地域に寄り添ったケアをしていきたい」
なんてセリフは、結局、「手遅れにならない段階で、医師の診察を受けろ」ってことだったりするんですよね。
病気じゃなくても、気軽に問い合わせてクレと。
それは、早期発見による予防医療の話であって、「寄り添う」からは伝わらない概念でしょ。

1485.jpg
「素材の持ち味が味わえる」のか、単なる「珍味」なのか

基になる「気持ち」をコトバに変換するとき、どこかでデフォルメが行われているはずなんです。
もしくは、ちまたで良く聞くキーワードを、よく考えずに流用する。
そうなると、リンゴの実は白いのに、皮をまとうことで、赤い果物として認識されてしまうようなことが起きる。

実は、こんなことがありました。
米軍基地に入るとき、下記のいずれかを持ってきてくださいと。

・免許証+記載印字票
・パスポート
・住民基本台帳カード(写真付)

でも、これは、リンゴの皮の部分なんです。
理由が知りたかったので基地に問い合わせたところ、
・身分を証明できるもの
・国籍が示せるもの
の2要件が「実」の部分でした。
最近の運転免許証って、プライバシーを配慮して本籍を載せていませんよね。
だから、免許証だけじゃ、不十分ということなんです。
自分は、記載印字票を取りに行くのがめんどくさくて、本籍入りの住民票にしました。
「実」がわかっているので、もちろんOKだったことは言うまでもありません。

これには後日談があり、「実」の部分が共有できていなかったため、免許証だけを持って来ちゃった人がいたんですな。
もちろん、基地には入れません。
「皮」というのか、字面だけ追ってしまうと、本質を逃すという教訓です。

ですから、「素材の持ち味が味わえるって、どういうこと?」っていう疑問を常に持っていないと。
「別に、珍しいジャガイモなんて食べる気しねぇや。ポックポクのバター乗せがほしいんだよ」という場合、ミスチョイスを起こしかねません。

[1484]営業を断われない人

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

開業して四半世紀以上もたつ医院があったとしましょう。
地域に信頼されていて、集患には困っていない様子。
じゃあ、改めて・・・ということで取材を開始したら「何のことでしたっけ?」と。
そういえば、たまたま来た営業さんが言っていたような気がするけど、「30分ぐらいで済みますか」と。

そんな現場が、あるっちゃ、あったりするんです。
通常なら、撮影1時間に、インタビュー1時間半は必要。
おそらく押しに弱くて、なあなあのまま受けちゃったんでしょうね。
いまさら、どうせいっていうんですか。

1484.jpg
詳細がわからない、ギリギリをねらった茶濁でございます

「ボリュームとしては1時間半必要です。30分しか取れないなら、テキストの3分の2は、同業のサイトから勝手に引っ張ってきます。後で先生が手直ししてください」
これが、自分にできる唯一の抵抗手段といえるでしょう。
抵抗というか、そうするしかないじゃないですか。

もちろん、手直しする部分には、「こんなことを言った覚えはない」というテキストが散見されるはずです。
あたりまえですよね。
こっちは、聞かないで書いているんですから。
でも、このリスクを先生と営業に伝えておかないと、コッチがケツを拭くはめになる。

じゃあ、やれるだけやってみましょうか・・・で始まったところで、実績のある医院は、いまさらアピールが要らなかったりします。
だって、集患ができているわけですから。
「開院したてのクリニックじゃあるまいし、急にポリシーとか理念とかいわれたって・・・」
みたいな感じで、インタビューが続くのです。
どうせいっていうんですか。

こういう現場。場数を踏めていないライターだと、パニクりますよね。
時間はない、題材は取れない、相手と協力関係にない。
そこを、しょうがないから、何とかしてあげちゃいました。約40分で、聞かなきゃいけない最低限な部分だけ確保。
こんなことやっているから、ヤヤコイ現場の指名が増えていくのでしょう。

あのね。その前に、営業を教育して。
少なくとも、カメラ、ライター、デザイナー、ディレクターといった大勢の関係者が、「この取材のために動いている」ことを、きちんと先方に伝えて。
頼むよ、ホント。
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てつまる

Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

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