[1485]リンゴが赤いのは皮の部分だけ

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

言葉として目に見えている部分と、そのメッセージの基となる概念は、得てして違うんじゃないだろうか。
コピーライティングをしていて、最近、そう思うようになってきました。

例えば、「おいしい笑顔が見たくて」というキャッチがあったとしますよね。
この場合、本当に店主は、人の笑顔を見たがっているんでしょうか。
「このレストラン、料理うめぇな」
という実感を持ってほしいだけじゃないでしょうか。
それをキレイな言葉で飾ると、「おいしい笑顔」になっちゃうんです。

これは、ヒアリングしていても感じるところで、
「地域に寄り添ったケアをしていきたい」
なんてセリフは、結局、「手遅れにならない段階で、医師の診察を受けろ」ってことだったりするんですよね。
病気じゃなくても、気軽に問い合わせてクレと。
それは、早期発見による予防医療の話であって、「寄り添う」からは伝わらない概念でしょ。

1485.jpg
「素材の持ち味が味わえる」のか、単なる「珍味」なのか

基になる「気持ち」をコトバに変換するとき、どこかでデフォルメが行われているはずなんです。
もしくは、ちまたで良く聞くキーワードを、よく考えずに流用する。
そうなると、リンゴの実は白いのに、皮をまとうことで、赤い果物として認識されてしまうようなことが起きる。

実は、こんなことがありました。
米軍基地に入るとき、下記のいずれかを持ってきてくださいと。

・免許証+記載印字票
・パスポート
・住民基本台帳カード(写真付)

でも、これは、リンゴの皮の部分なんです。
理由が知りたかったので基地に問い合わせたところ、
・身分を証明できるもの
・国籍が示せるもの
の2要件が「実」の部分でした。
最近の運転免許証って、プライバシーを配慮して本籍を載せていませんよね。
だから、免許証だけじゃ、不十分ということなんです。
自分は、記載印字票を取りに行くのがめんどくさくて、本籍入りの住民票にしました。
「実」がわかっているので、もちろんOKだったことは言うまでもありません。

これには後日談があり、「実」の部分が共有できていなかったため、免許証だけを持って来ちゃった人がいたんですな。
もちろん、基地には入れません。
「皮」というのか、字面だけ追ってしまうと、本質を逃すという教訓です。

ですから、「素材の持ち味が味わえるって、どういうこと?」っていう疑問を常に持っていないと。
「別に、珍しいジャガイモなんて食べる気しねぇや。ポックポクのバター乗せがほしいんだよ」という場合、ミスチョイスを起こしかねません。

[1484]営業を断われない人

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

開業して四半世紀以上もたつ医院があったとしましょう。
地域に信頼されていて、集患には困っていない様子。
じゃあ、改めて・・・ということで取材を開始したら「何のことでしたっけ?」と。
そういえば、たまたま来た営業さんが言っていたような気がするけど、「30分ぐらいで済みますか」と。

そんな現場が、あるっちゃ、あったりするんです。
通常なら、撮影1時間に、インタビュー1時間半は必要。
おそらく押しに弱くて、なあなあのまま受けちゃったんでしょうね。
いまさら、どうせいっていうんですか。

1484.jpg
詳細がわからない、ギリギリをねらった茶濁でございます

「ボリュームとしては1時間半必要です。30分しか取れないなら、テキストの3分の2は、同業のサイトから勝手に引っ張ってきます。後で先生が手直ししてください」
これが、自分にできる唯一の抵抗手段といえるでしょう。
抵抗というか、そうするしかないじゃないですか。

もちろん、手直しする部分には、「こんなことを言った覚えはない」というテキストが散見されるはずです。
あたりまえですよね。
こっちは、聞かないで書いているんですから。
でも、このリスクを先生と営業に伝えておかないと、コッチがケツを拭くはめになる。

じゃあ、やれるだけやってみましょうか・・・で始まったところで、実績のある医院は、いまさらアピールが要らなかったりします。
だって、集患ができているわけですから。
「開院したてのクリニックじゃあるまいし、急にポリシーとか理念とかいわれたって・・・」
みたいな感じで、インタビューが続くのです。
どうせいっていうんですか。

こういう現場。場数を踏めていないライターだと、パニクりますよね。
時間はない、題材は取れない、相手と協力関係にない。
そこを、しょうがないから、何とかしてあげちゃいました。約40分で、聞かなきゃいけない最低限な部分だけ確保。
こんなことやっているから、ヤヤコイ現場の指名が増えていくのでしょう。

あのね。その前に、営業を教育して。
少なくとも、カメラ、ライター、デザイナー、ディレクターといった大勢の関係者が、「この取材のために動いている」ことを、きちんと先方に伝えて。
頼むよ、ホント。

[1483]日本にあるアメリカ

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

この間、警備体制がものすごくシビアな場所を取材してきました。
どこなのかは、おいおい。
事前申請の段階で、身分証明書のほかに、本籍の入った住民票などが必要なんです。
なぜなら、いまの免許証は、プライバシーの関係で本籍を記載していないから。
本籍が問われるって、すごくないですか。
どこなのかは、おいおい。

当日。
有名な話ですが、セキュリティチェックを行う入口の周辺は、撮影不可。
カメラ類も、バッグの中に入れないといけません。盗撮できちゃいますからね。
なので、Vの場合、一連の動きを撮ることができなくなります。
お店のような、「いかにも散策中に見つけた呈」は無理。
そこでよくあるのは、関係ないところで演者がジャンプして、瞬間移動するような図。
あれで、敷地内の画につなげます。

1483.jpg
書けないので、想像してください

敷地内であっても、ミリ関係の現物はNGです。
空っぽの設備だったり、建物なんかはOK。
あのですね、ココはもう、ひとつの街なんです。
学校や病院、映画館にスーパー、運動場や屋内ジム、自動車のディーラーなんかもあります。
マックやスタバも入っていますが、素材は本国直送なので、日本のサイズよりでかい。
フラペチーノにしたって、ビールの500缶くらいある。あんなの腹こわしますよ、普通。

また、見たこともないチェーン店があったりしておもしろい。
「MEAN GENE'S」というファストフードを検索してみましたが、国内にはないみたいですね。
入ってみたかったけど、スタバに連れて行かれちゃったので、GENE'Sれず。
スタバの店内は、当然、英語ばっかし。
自動車に貼ってあった値札、当然、英語ばっかし。
ドッグに泳いでいたカモ、こちらは、国内各地で見かける種類でした。
以上、特に今回は、オチなし。

[1482]ベンチャーでブチョーといわれる人たち

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

標題のような方とお仕事をしていて、
「えっ、それで役職持ち?」
と思うようなことが、ままあります。
我流で実績付けちゃっているから、いい意味で「個性派」、悪い意味で「常識知らず」なんですよね。

何て言うのかな、ある角度だけにとんがっちゃっていて、実は底が浅かったりする。
トンコツラーメンだけは上手に作れるけど、定食類はさっぱりダメみたいな。
味噌汁もひけない人が、都会に飲食店を出している感覚。
要は、こなれていないというのか、たたき上がっていないわけです。

1482.jpg
たたき上がった店の煮魚定食・・・的な茶濁でございます

例えばAさん。
基本的に、人の話を全く聞きません。
一方的にしゃべってくるので、質問しようとしても、「聞いてください、聞いてください、いいですか」でスルーされる。
コッチが言いたいよ、そのセリフ。
社内や外注先ならまだしも、クライアントに対してもそうなので、意思の疎通ができていない。
我慢して「聞いた」のに、話が全然違うじゃないの。

あるいは、自分の手法から「断捨離」できないBさん。
おそらく、「早い、安い」のアピールで間口を広げる手法が得意だったんでしょうよ、いままでは。
ところが最近のクライアントって、必ずしも「早い、安い」がウリではないんですよ。
むしろ「じっくり丁寧、人付き合い重視」だったりする。
そうなると、取材想定が全部ひっくり返るんですね。
そのぐらい事前にすり合わせとけばいいのに、なまじっか成功してきたから、今度も自分のセオリーが通ると思っている。

もちろん、感心させられるブチョーさんもいるんですよ。
まあ、そういう人は、どんどん他社へ移りますけど。
ということで、迷惑なトゲがいっぱい集まって、見た目が丸いだけなベンチャー。
まるで、ウニみたいな感覚。触ると痛い。
ただ、遠めのシルエットとしては丸い。
とはいえ、上場企業みたいなコンニャク玉も、それはそれで手応えがないんですけどね。

[1481]アクション率とサイトの情報量は、必ずしも比例しない

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

先日読んだ朝日の副読紙で、「不便益」という言葉を初めて知りました。
どうやら、あえて「不便」にすることで、「益」が生じる・・・らしいのです。
その記事で挙げていたのは、「動くほうの足でこぐ車椅子」という一例。
手でこいだほうが「楽」なのかもしれないけど、あえて「片足を頑張らせる」ことで、「筋力の低下を防ぐ」。
なるほどね。

もう一例としては、特殊な道具箱。
ツール類を一緒くたにガチャコンとは納められず、ペンチならペンチの形にへこんだトレーに収納しないといけない。
こういうのって、化粧品のお試しセットとかであるじゃないですか。
乳液なら乳液の場所が決まっているヤツ。
ガチャコンのほうが「楽」なのかもしれないけど、あえて「場所指定する」ことで、「しまい忘れや紛失を防ぐ」。
いわく、「不便益」と呼ぶそうです。

1481.jpg
いちいち開け閉めが面倒だけど、盗難や空き巣を防ぐ「不便益」

そこで、本題。
何となくですけど、サイトコンテンツにも同じ事がいえると思っていたんです。
良くあるのは、サービス内容を1から10まで載せちゃっているサイト。
相続の流れとか、用意したいものとか・・・あれ、全部わかっちゃったら、問い合わせが来なくなりますよね。
自分でやれちゃうじゃないですか。

そうではなく、「考え方のツボ」や「知らないと初動を誤るポイント」くらいでとどめておいて、その先を残しておくことが重要。
サイトで必要なのは「マインドセット」であり、問い合わせさせることなんですよ。
極論すれば・・・

「相続に必要な要件は3点。財産の確定と、人の確定と、さて、あと1点は何でしょう。当事務所で、答え合わせしてみてください」

でもいいと思っている。
全部載せのほうが親切かもしれないけど、あえて「穴」を作ることで、「知りたいマインドを高める」。
つまり、「不便益」なわけです。

相続による所有権移転登記の登録免許税は評価額の1000分の4
売買による所有権移転登記の登録免許税は評価額の1000分の1.5もしくは2もしくは3

なんてことを永遠にやっていて、はたしてどこまでの「益」があるんだと。
そんなことは、問い合わせれば済むことじゃないかと。
読まれやしないバイナリーデータを盛り過ぎと、逆に客を逃します。
だって、書いている自分が見る気しないもの。
こういうのは、「便不益」って言ったりするんでしょうか。

[1480]取材時に課せられる「服装コード」の正しい解釈

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

取材の正式依頼メールなどに「Tシャツやジーンズなどは厳禁」なんてことが書かれていますが、まったく守っちゃいません。
夏になれば、ガンカン「Tシャツとジーンズ」です。
それでいてご指名は増えていますし、現場で問題になったこともありません。

ああいう指定はですね、「身だしなみをキチンとせい」という一例なわけで、いわゆる服装指定ではないと考えています。
だって、アンタのトコの社員じゃないもの。
従うとか従わないとか、おかしいでしょ。
例えば、お気に入りのスイーツを扱っていないコンビニやスーパーあったとしたら、文句を付けて仕入れてもらうんですか? 違うでしょ。
「そういう店には行かない」という選択をするでしょ。
ライターも一緒。
気に入らなきゃ、「仕事を振らない」のが筋。
服装で選ばれる筋合いなんて、これっぽっちもない。

1480.jpg
夏場で自分が撮られている画って、あまりなかったです

逆に聞きたいですよ。
ポロシャツは汗じみでヨレヨレ、チノパンは物をポケットに詰め込み過ぎてパンパン。そんなライター。
Tシャツだけど汗じみが目立たないよう絶対に2枚重ねて、501xxのホワイトジーンズをシャッと着こなしているライター。
どっちを選ぶんですか。
要は、「取材先が不快に思ったり、機嫌を悪くしたりしないため」の服装コードでしょ。
ポロにチノパンだったら、不潔でもいいのかって話です。

自分は、取材メールの目的を正しく捉え、適切な手段にアレンジできる人間。
一方のひよっこライターは、目的が見えないまま、手段だけ合わせようとする。
そんな人の文章なんて、たかが知れていますよね。

こういう指示は、もともとレベルの低い人向けなんですから、無視していい。
繰り返しますけど、コッチはアンタの会社の従業員じゃないの。
テキストとフィーを等価交換している取引先なの。
どこの世界に相手の服装を指定する企業があるんですか。
おかしいって、絶対。
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てつまる

Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

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