[2415] 男性ライターに産婦人科を取材させるとどうなるか

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

2017年の取材納めは、驚いたことに、産婦人科でした。
何で男を呼ぶんだって話ですが、担当の言うところによれば、出産経験がない以上、「男でも女でも大差ない」そうです。
それより、しっかり話の聴けるライターがほしかったと。
むしろ、何も知らない呈で、キホンのキから取材をしてほしいと。

そんなこともあって、産婦人科独特の事情を一から学ばせてもらいました。
一般医科と最も異なることは、「健康な人がかかる科目」であること。
病人ではないんです。
だから、携帯やカメラ・ビデオなどの電子機器は持ち込み放題。
インスタだろうが何だろうが、好きにやってちょうだい。
希望があれば、プロのカメラマンも呼んできますよ。
「生まれた場所」を写真に残して、将来、お子さんに見せてあげたらどうですかと。
なるほどね。そういう世界なんですな、もはや。

築地の玉子塚
ゴリゴリの茶濁画像でございます

あと、一言で出産と言っても、いろいろな種類というか方法があることにビックリしました。
とにかく痛い思いをしたくない人には「無痛分娩」。
陣痛を待ち、人本来の出産にこだわりたい人は「自然分娩」。
前者は医療の介入する割合が高くなり、後者は患者が主役になる。
とことん「自然分娩」にこだわる人もいて、知らないうちに「産まされちゃう」のが嫌なんだそうです。どうせなら、お産を実感したいんだと。

取材後。
担当によると、産婦人科の先生は「カタリー」が多いそうです。
病気ではなく人を相手にしているので、医療より哲学を「語る」んですな。
確かに、巻いたつもりでいて、いつもより長くかかってしまいました。
それでも担当いわく、「たぶん、言いたいコトの半分も語っていないんじゃないですか」と。
この意味するところは、原稿の大幅な手入れが予想されるってことです。
テキストを読んだ時点で、「カタリー」な性格が本領発揮してくるかもしれない。

頼むよ。追加のライティングは有料だからね。
多くてもせいぜい、3500グラムくらいにしとこうよ。4500グラムを期待されても困るって。

[2414] 単独からスポンサー同行まで、ロケもいろいろ

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

今回の話にオチはありません。
連続した2日のロケを、淡々とご紹介するだけです。

まず、初日。
久々の単独ロケでした。
インタビューはむしろ、独りのほうがやりやすい。
対象者と二人きりで集中できますし、横からチャチが入って話が飛ぶこともないですから。
問題は、単独の場合、撮影も込みということです。

これがなかなかに緊張のタネで、テキストに比べると、いまひとつ自信が持てないんですな。
もちろん、「とりあえず、あればいい」レベルのものは撮れますよ。
ただ、それだけだと、物足りないじゃないですか。
人物撮りにしても、「インタビュー中の自然な表情」みたいなのは無理で、どうしたって、話が終わってからの別撮りにならざるをえません。
「表情キツイし、笑ってくれないかな」「光が回りきらないで影が出るけど、どうしよう」「撮り忘れ、もうないよな」「あれ? レンズキャップ、ドコへ置いたっけ」
・・・何ていうのか、あせるんですわ。

アイスコーヒーのボトル
時間が押しているなか、ドタバタでやっつけた一例

そんなこんなで、翌日。
今度はうって変わって、ディレクターとスポンサーにカメラマンも付いた大所帯でした。
しかも、そのカメラマンが1年ぶりになろうかという知り合い。
助かりますな、こういう偶然があると。
気が置けないというのか、任せとけば大丈夫というのか。
ホント、雲泥の差なんです。カメラがいることに加え、「任せられる」ということは。

ディレクターとスポンサーは、収録場所の関係で、少し離れたところにいてくれました。
これも助かった。
実はスポンサー同行ってはじめてで、余計なことしてくるんじゃないかと・・・余計は言い過ぎか・・・ちょっと気がかりだったんです。
ところが、始まってみれば、お任せの呈でした。

このロケ、地元ではそこそこ有名な、海沿いのカフェ内で行いました。
時は金曜日のお昼。ポカポカ陽気で眺めもいいと。
そうなるとですね、皆さん、収録が終わっても「帰ろう」と言い出さないんですね。
1時半ころには終わっていたのに、3時過ぎまでダベる始末。
定時少し前に帰社し、「一応、仕事してるって」アピールしてから帰るのが理想なのだとか。
こういうスポンサーさんなら大歓迎。
もっと、ネッチリ入ってくるのかと思ってました。
余裕だなぁ。オトナだなぁ。
よし、いい仕事しちゃう。頑張っちゃう。
と、たやすく手に乗せられてしまったのでありました。

[2413]「予防歯科」というコトバが使えなくなった!?

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

結論から言いますと、使えます。大丈夫です。

とある日、某先生から連絡が入りまして。
いわく、ライオン社が「予防歯科」で商標を取ってしまったと。
「歯科予防」に変える必要があるかもねと。

そんなバカな。
商標は、「フツーのコトバ」じゃ取れないハズなんです。
だって、「カバン」とか「電車」とかに認めてしまったら、文章が書けなくなりますからね。
念のため、特許庁のデータベースに入ってみたら・・・なんと・・・あなた・・・。

予防歯科に関する商標登録
特許庁のサイトをパクるという、野心的な試みでございます

たしかに、2件の登録がある。
マジ?
さっそく特許庁に直接たずねてみたところ、登録されている「イメージ」と似ているかどうかで、商標の侵害を判断するとのこと。
「予防歯科 ライオン」
の部分です。

ライオンとセットの状態が問われるんですよね?
予防歯科単独だったらいいんですね?
そう確認してみたんですけど、
「いや、あくまで登録されている『イメージ』と似ているかどうかで、商標の侵害を判断する」
の繰り返しでした。
まあ、判断するのは裁判所ですからな。
特許庁は、アーカイブスに過ぎないと。

結局のところ、セットかどうかの判断でいいんじゃないでしょうか。
「商標」って、ある種のマークですからね。
デンタル製品のバッタを防ぐことも、その目的に入っていたりするわけで。
平文の「予防歯科」を廃除するものではないと判断いたしました。

そうじゃなきゃ、業腹モノですよ。
だって、歯科のテキスト、書けないもの。
でも、先生ほか一部に、ウワサとして出回っているのは事実のようです。
もう、「予防歯科ってコトバが使えないんじゃないか」っていうアセリというのか、衝撃というのか。

商標は役務提供者の存在を知らせる目印。
このハブラシはドコドコの商品だねっていう名札。
単なる「予防歯科」なら、ライオンに限らないので、どう見てもセーフ。
だけど、ちょっとビビった。

[2412] パソコンやモバイルを使わない世代

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

スマホを持っていない自分が言うのも何なんですが。
世の中には、「郵送」という通信手段しか持たない人が、まだまだいるんです。

とあるメディアの企画で、人間国宝的な職人のインタビュー依頼があったとしてください。
一応、公式サイトはあるものの、どう考えても「この人が立ち上げている」とは思えない。
連絡を取ったら、案の定、息子さんが窓口でした。

彼いわく、
「資料一式を、郵送で送ってもらえませんか」と。
「父がそれを読んで、取材をうけるかどうかご判断します」と。
媒体概要や企画書はもちろん、サンプルとしての過去記事もプリントアウトしなきゃならない。
しかも、よく考えてみたら、これはまだ序の口なんです。

丸形ポストのイメージ
「切手世代」と申しましょうか、そういう方がゼロではない

だって、取材した後の原稿確認があるじゃないですか。
うまくいって1回、ヘタしたら3回。
在所が都内なんで、何かのついでに投かんしてこようかな。
どっちが効率的なんだろ。交通費的にも、時間的にも。

ということで、編プロと話した結果、通常1カ月のサイクルを倍に伸ばしてもらいました。
1月号は、急きょ、ほかの方。
今回の人間国宝的な職人は3月号ってことで。
・・・よく考えたら、同時進行しなきゃいけないんですよね。後送りじゃない。
ただでさえキッチキチな年末仕事を増やしてるだけじゃん。

それはそれとして、こういう場合の「ほかの方」って、何だか恐縮で。
取材をオファーされたら、誰でも喜びますよね。
でも、言えないけど、代打なんです。
パソコン使えてメールもできるんですよね。
それなら、空いちゃった1月号、埋めてください。言えないけど。

[2411] 校正戻しは、メディアが先かインタビュイーが先か

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

おかげさまで、また、別のメディア枠をいただきました。
内容を簡単に言うと、「職人インタビュー」。
メディアの背景には、資格取得のスポンサーが付いています。
振られた職人は、何て言うのか、「ものすごく息の長い芸術家さん」です。
えと、これ以上は、書けません。

構成も「お任せ」でいいらしく、腕の見せどころですな。
世に出ている記事を調べてみたら、「いまの取り組み」か「時系列の紹介」のいずれかで、あまり深掘りをしているものはありませんでした。
なので、子ども時代、修業時代、デビュー時代、名の売れた時代・・・など、そのときどきで、その芸術が作家にとってどういう意味を持っていたのか、変遷を追ってみようと考えています。
息の長い人ですから、ターニングポイントがいくつもあったはずなんですよね。
それを、単に時系列で紹介するだけじゃ、もったいない。
まっ、筋の話は、今回の本題と異なります。

原稿をやりとりする関係者一覧
ここから、本題に入ります

要はですね、
取材対象者の確認を取って、それをメディアに渡したら赤が入って、取材対象者に再確認してもらったらスポンサーが直しを入れて・・・。
そんな無限地獄が、常に考えられるわけですよ。
初めてのお仕事なので、その辺をしっかり詰めておかないと、終わりが見えなくなる。

フローがきちんと決まっていればヨシ、ルーズーは困る。
ただし、自分の経験からすると、ルーズーにも「良いルーズー」があるんです。
「悪いルーズー」は、とにかく言われたままに動く無限地獄タイプ。
対する「良いルーズー」は、最も効率的な着地を目指して機能的に動くタイプ。
フィーがいいのは、もちろん後者。
一言で言えば、メディアの編集者で決まりますな。

試しに聞いてみたところ、考えられるパターンは三つくらい考えられると。
後は、流れと納期を見ながら決めていきましょうと。
よし、そう来たか。
この流動性って、ものすごくパワーがいることなんですよ。
逆にフローを決めちゃうから弾力性が失われて、言いなりや後手に陥る。
「良いルーズー」、いただきました。
コッチも、それを意識して、取材対象者とのセッティングに入ります。

[2410] こんな文章を載せちゃ、ダメだって

~記事はどのようにして作られるか【取材現場の裏話】~

いま、他人が書いた記事に対し、「専門家から監修をもらう」という仕事をしています。
この元記事がですね、よほど予算をチビったんでしょうか、かないイケてないんですよ。
何だろ、日本語の感覚がおかしいというのかな。
いくつか、引っ張ってみましょうか。
ちなみに、もともとは、医療に関する内容です。
ですが、検索されないように単語を変えて、医療から離しています。

・・・元記事・・・
食材評価について
殺菌処理は、全ての食材に行うことはありません。あくまでも腐敗が進行した肉が対象です。
そこで、殺菌処理の後に、どれくらい細菌が残っているのかを評価するために、処理をした肉に限って行なう検査です。

まず気になるのは、なぜだかわからない「そこで」っていう接続詞。
次に直したいのは、助詞のカブリですね。これでもか・・・というほど重なっています。
――は、――はありません。――が――が対象です。
そこで、――に、――に、――に限って行う検査です。
何より、「食材評価」そのものを説明していないので、ピントの合ってない感じが否めません。

無陰灯イメージ
そこで、集中治療をしてみました

食材評価について
殺菌処理の対象は、あくまでも腐敗の進行した肉に限られます。全ての食材とは限りません。
また、殺菌処理では、どれくらい細菌が減ったのかを確認する目的で、処理をした肉に再検査する場合があります。これが、食材評価です。

これでも、元文を生かしたツモリなんですけどね。
もう一例引いてみましょうか。

・・・元記事・・・
助走する期間
助走する期間は、動輪を装着して、車体を決められた距離まで助走していく期間です。
あまり助走する必要がない場合は1カ月以内に終わる場合もありますが、一般的に1カ月~3カ月かかります。

あのさ。
物事を説明するんだったら、同じ言葉は使わないどこうよ。
タコの意味を論ずるときに、タコですって書かないでしょ。
あと、――場合は、――場合もあります・・・って、それくらい気付いてよ。
個人的には、例外が先になっている論旨展開も気になります。

助走する期間
動輪を装着した車体は、慣らし運転も兼ねて、決められた距離までゆっくり走らせます。助走する期間とは、この行程に必要な日程のことで、1カ月から3カ月前後かかるのが一般的です。
ただし、あまり助走する必要のない場合、1カ月以内で終わらせることもあります。

自分は編集を任されているわけじゃないので、こうした悪文がそのまま野に放たれます。
あー、ストレスたまるな。
文字@ 1円あたりのヤツに任せると、こうなっちゃうんだって。
というか、日本語の感覚が変でしょ。
少なくとも、ライターなんて名乗れないと思うんですけど。
お仕事のお問い合わせ
カレンダー
01 | 2018/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 - - -
プロフィール

てつまる

Author:てつまる
神奈川県を中心にフリーで活動しているライターです。
超IT系を除き、医療・各士業・経営者・アスリートへの取材、アーティストプロモート(情報発信)、イベントレポなどを手がけています。

最新記事
カテゴリ
お世話になっているサイト様
最新コメント
最新トラックバック
コトバカウンター
special thanks to
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR